本当の愛

「結婚ってこう、素晴らしいのでしょう? 愛する人と永遠に結ばれるなんて素敵」

そううっとりと言う少女


ロマンチストな彼女は、まだ本当に恋をしたことがないのだ

しかし、恋に恋をしていた

永遠の愛を無邪気に信じられている彼女に、誰が“現実”を吹き込めよう?


彼女は人生で報われなければならない

美しい理想を愛している彼女の元に、本当に美しい愛がもたらされなくてはならない

そうでなければ、現実にはいくらかの価値もないのではないか


愛は穏やかな湖面のように、彼女の柔らかで華奢な体の内側に確かに広がっている

誰かそれを見出す男性が現れるまで

彼女は純潔を貫き通すだろう


いつか“現実”が彼女の元に訪れようと

彼女はそれを受け入れはしないだろう

そうやって

突き返した先に本当の愛が両手を広げて待っているのだ

きっと、そうでなくてはならない

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