自生

私はできているし、これからもできるようになっていくし、だから大丈夫なのだ。道端にいる猫の視線に気がつくことができるし、少女の泣き声に敏感だから。バイオリンを教えることができていたし、読書感想文を選ばれたこともある。それになんていったって、文章を書くことが大好きなのだから。そして、妹を愛することができている。仕事も八割はできていたしな。

でも何故か、心の片隅に自信のなさがある。いつも間違えていたらどうしようと思っている。だから無神経な人に雑に扱われたりした。自分を過小評価してしまっていて、だからしっかりすることを求められる場面では、いつも苦しい思いをしていた。私は本当は、草木のように何も言わず、ただ風に吹かれていたかっただけだった、水や言葉と戯れていたいだけだった。自己主張をすることがしんどくて、いつ終わるのだろうとぼんやり考える。私が感受する感覚はいつも正解だと思いたい。私はこの世界にいていいのだと、その気持ちはいつもあって、だから本当は息をするのは楽。でも、できることとできないことを考えると嫌になってしまう。私はそういうことからは離れた存在だと思っている。自己肯定感は、だからとてもあるのだ。世界に触れて変容させる力を持った私をもっと大切にしたい。世界をそのまま愛することのできている私を、もっと愛したい。世界に自生している私を、ただそのままに静かに揺らすことができるのならば。私は死と生をただ受け入れる存在となろう。

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