金星の海

 金星の海に、半透明の柔らかな生物が生まれた

 彼はかれこれ300年、輪廻の銀色の輪をぐるぐると回っていたのだった

 やっと命をいただけた

 僕は今日からしっかり生きるぞぅ

 彼は意気込んだ

 金星は彼を宇宙へと送り出した

 金星の生き物は そういう運命なのだ

 彼はふわりとひれのようなものをはためかせた

 ようし 頑張るぞぅ

 立派な生き物になってみせるぞ

 宇宙を浮遊しながら 彼は未来を思い描いた

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