涙ノ詩
捏ねてこねて地球を生んだ神様が、最後にぽつりと泣いて海を作りだしたのだとして
僕らの涙は潮辛く、だから僕らは彼に似せて作られたのだと信じられる
ほんとのところ、僕らは広い神様の体内でぷかぷか仲良く遊んでいるだけなんだよ
それだけなのに、なぜ争いなどして時間を空費するんだろうね
友人は木漏れ日に横顔を浸しながらそう云った、不思議くんだけどしっかりしてるよねってみんな好意的に彼のことを噂するよ
現実主義&享楽主義者のお前がなんであいつの友達やってんだろうなって、みんなは勝手に首を傾げる
彼の髪の上に落ちた柔らかい葉いちまい摘んでくるりと回し、僕は微笑みかける、
「争いだって遊びのひとつでしょう」
君はいつだって不謹慎だよね、と彼はため息をついた
「遊びとしての争いと、争いを遊びにすることは似ているようで違うと思うんだけど、君はどっちのこと言ってるの」
「そりゃ、君の想像してる方だよ」
僕は彼の唇に葉を押しつける、彼はそれを一息に吹いてじろりと僕を睨みつけた
数日前にも泣いた君は僕よりずっとリアリストだよ
「君が最後に泣いたのはいつ」
いつだったかなぁ、何億光年も昔のことは忘れてしまった
生んでもらって、泣いて笑って、悟りの光に満たされて、地上に生を受けなくなって、たくさんの文明を見守ってきたよ、君があんまりにも泣き虫だから守護しようって決めて、ほんとに久しぶりに地上にやってきたんだ
大丈夫だよ、君の美しさは僕らが知ってる
イマジナリーフレンドって呼ばせときな
ほんとうのことはたいがいの人は死んでから知るのだから
だからほら、涙を拭いて
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