異世界で軍隊を創設したら、戦場になりました

@12{アイニ}

BEFORE ニートがJKを救って死亡って、俺って英雄?

 小高い丘がある草原地帯に、森林迷彩フォレスト・カモフラージュを施した1台の10式戦車が停車していた。

 銃座用ハッチから身を乗り出して双眼鏡を覗いているのが、この物語の主人公であるガンリャードゥ・メルアだ。そして、車内で砲弾を抱えて待機している金髪でオッドアイの女性は元奴隷のティナ、運転席でハンドルに脚をかけて完全暇モードな幼馴染の亜人――兎人うびと族のラーニャだ。

「敵影は今の所、確認せず」

「――もぅ!いつまで待って居れば良いのぉ⁉」

 ティナは通常砲弾をそっともとにあった場所に戻して、地団駄を踏んだ。

「リローディングハッピーなティナの気配に怖気づいて、寄って来ないとか?」

 ラーニャが軽く笑って空気を和ませていると、双眼鏡の奥に待って居た敵の影が姿を現した。

「――・・・御出おいででなすった、総員。戦闘準備」

 銃座用のハッチを素早く閉じて中でラーニャをぽかぽか叩いているティナとラーニャに聞こえるような声色で言うと、二人は血相を変えて「合点承知!」と配置に着いた。

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 ここは地球、日本国奈良県奈良市。近鉄電車が走っている静かで、発展中の県だ。

 俺――酒匂さかわ剣吾けんごは、ニートだった。その日もコンビニでコラ・コークを3本ほど買って実家に帰る途中、いつもと違う道で帰ろうとしたのが間違いだった。

「ふぁ~・・・、帰ってバトルフィールドしてCODして寝よう。ふぁ~‼」

 大きな欠伸をして歩いていると、青く点滅している歩道用の信号機を無視して渡ろうとしている女子高生が見えた。

「いつも通りの光景だな」と、思いながら見ていると赤信号を無視して突貫してくるトラックが見えた。その時、何故か俺はその女子高生を突き飛ばして彼女を助けた。しかし、その後の記憶がない。

 嗚呼、俺――死んだよな。この状況は・・・。

 薄らと目を開けて見ると、さっき助けた女子高生が「大丈夫ですか、大丈夫ですか」と何度も呼びかけている。

「・・・あ、無事やったか。――俺の分まで、生きろよ・・・名も知らないJKさん」

 死が分かる具合になるぐらい頭部と腹部を強打したらしいから、最後の力を振り絞って涙を流している女子高生に君は悪くないという事だけを伝えた。

「な、名前は、イチカといいます・・・うっ、ううっ!」

「泣かンといて、やくそㇰ」

 そこで俺の意識は途絶えた・・・、嗚呼。ロクな人生、歩まなかったわ。

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