第三話 「餞別(せんべつ)」
"ロシア!? 何だってアンタ
そんな場所に行くんだい!?"
「(宏江.....)」
"ガタッ!"
「・・・・!」
「な、何だ?」
突然、隆和、そして部下たちを乗せた
モスクワ行きの便の機体が揺れる
「・・・・・!」
"ピーーーーーーーッ"
「【・ ・ ・ ・ Этот самолет
в настоящее время
находится в месте,
где поток воздуха
может быть
турбулентным,
но это не будет
мешать работе
самолета,
поэтому оставьте
свое место с
пристегнутым
ремнем безопасности.】
(・・・・只今、当機は
気流の乱れやすい場所に入っておりますが
別段、当機の運航に
支障を来す事は御座いませんので
シートベルトを装着したまま席から
お離れにならない様にお願いします)」
"ピーーーーーーーッ!"
モスクワ行きの飛行機の中で
自分の妻である宏江の
愛想の無い別れの言葉を思い出しながら、
隆和がシートにもたれかかっていると
突然機体が揺れ出し、
機内放送の音が聞こえてくる
「ひ、ヒィィィイイイイイイッ!!」
"三咲 恭二"
「だ、大丈夫! 大丈夫だ!
三咲っ!?」
「ひ、ヒィィッ!
だ、だから俺はロシアなんか
行きたくなかったんだ~っ!?」
「・・・三咲。」
「ひ、ヒィィッ!
で、デスク! これ、
アンタの責任ですよっ!?」
「・・・・」
自分のシートの後ろに並んで座っている
部下の一人に目を向けると、
華奢(きゃしゃ)で
神経質そうな顔付きをした一人の男が
大声で叫び声を上げている
「ひ、ヒィィッ ひぃぃぃいいッッ!」
「お、おい、三咲っ!
落ち着けよっ!」
「デスクーーーっ
落ちます! 絶対落ちますよっ
これっ!?」
「(・・・・・)」
「あっ デスク!?」
"ドスッ"
三咲が何か大声で騒ぎ立てるが、
どうせ毎度の事だろうと思い、隆和は
三咲から顔を背け再び自分の席に座り
背もたれに背中を預ける....
「ひ、ひぃぃっ!
で、デスクっ!?
そ、それ、部下の面倒を見ない、
無言の"パワハラ"ですよっ!?」
「み、三咲っ....落ち着けよ」
「恨みますよっ!
・・・恨みますからねっ!?」
「(・・・・・)」
"ピィィィィィィィ....
"【ソルェデゥァ、トゥオキア、
ワトスワンジィクァンフォドドゥ
モスクァヌィチャッコウスィマスヌォドゥエ
オリヲィスゥォルゥアヌォトゥアブゥィヲ
ヲツァヌォスィムィクゥダスイ】"
「ひ、ひぃぃぃいいいいっっ!!」
「(・・・・)」
"シュウウウウオオオオオンッ―――――.....
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