第12話事件の終わり
北山の放った弾丸によって、東山動植物園を恐怖のどん底へと導いた巨大ヒグマはついに倒れた。
「やった・・・、やったぞ!」
「おお!!やった、さすがマタギだぜ!」
「すごい・・・、あんなに大きなヒグマを倒すなんて・・・。」
大島はヒグマを倒したことで、危機が消えたのを実感した。
『あーあ、せっかく生き返らせたのに・・。結局、過去の魔獣ではだめか・・・。』
大島はこの一言を聞き逃さなかった。
「おい、生き返らせたっていうのはどういうことだ?それとお前は何者だ!?」
大島は謎の声にたずねた。そして謎の声は答えた。
『正体は明かせないが、このヒグマのことについては教えてやる。このヒグマは北海道の三毛別というところで死んでいたのを、私が生き返らせたのだ。そして人々を襲撃するために、この地に送り込んだのだ。』
三毛別という言葉に大島は心当たりがあった。
今から百年くらい前、北海道の三毛別・六線沢村で巨大なヒグマが人を襲撃する「三毛別ヒグマ事件」が発生し、女性と子ども合計七人が亡くなった。女性の中には身ごもっていた人もいて、かなり凄惨な獣害事件だったという。
ということは、このヒグマは百年前の北海道からやってきたということなのか・・?
大島はもう動かないヒグマを見て思った。
『今回は大島の勝ちにしといてやるが、次はこうはいかんぞ!さらばだ!』
「おい、まだ話は終わってないぞ!」
大島は叫んだが、謎の声は止んでしまった。
「大島さん、どうしたの?」
「さっきから見えない何かと話していたみたいだけど・・・?」
緑山とイーサンと北山はポカンとしていた。どうやら、彼らには何も聞こえなかったようだ。
「・・・いや、何でもない。さあ、私たちは早くここから出よう。」
そして大島は三人と一緒にその場を後にした。
その後、このニュースは日本全国の話題となり、「蘇った三毛別事件!動物園に現れたヒグマ!」として新聞・SNSで話題となった。
そして北山は今回のヒグマを射殺したことで、世間から英雄だと評価された。一方の大島も、ヒグマ討伐に協力したことで名古屋市長から感謝状が送られた。
しかし当の本人は、未だにあの事件は何だったんだと心の中で思うのだった。
ビッグボスの不思議体験「東山動植物園VS三毛別のヒグマ」 読天文之 @AMAGATA
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