記録情報No.6
「まさか貴方が、こんな辺境に現れるなんてねぇ。驚いたわ、私」
「世界に辺境などあるまい。全て等しく、輝かしい人生の舞台だ」
【
色の濃い肌ではあるものの、スキンヘッドの何処にも角が無いことからも分かる通り、それは
そして、虹彩はやはり純白に輝いている。
「これまた派手なことをしてくれたな、【
「あら、前には万単位で殺し合ったこともあったと思うけど?」
「遠い昔のことだ。それに、あれも貴様から仕掛けてきただろう」
「たかだか数百年前の話じゃない。それに、嬉々として反撃して来たのは何処の誰でしたっけ?」
「暴走したのは【
「はいはい、そうですわね。全言能者の中でも最強と目される何処ぞの堅物——【
まるで他愛無い昔話を持ちかける【
その瞬間、先程まで無様に地面をのた打ち回っていたはずの〈
「な、あ、あれが……あの、フ、ファ、【
「……おそろ、しい……」
「貴女達の感想は聞いてないわ。私が彼と話してるの。邪魔しないで」
「なんだとッ!? そんなこと、私達に関係あるか!」
「あら、静かにしないのなら、またあの暗闇に帰ってもらうことに——
「〈
——って思ったら、大丈夫みたいね、もう」
そう言って、【
「すまない、〈
「まさか自分の都合のために〈嘘から出た真〉を使うなんてねぇ。
「そもそも人類を守るのは自分の都合だ。名折れだろうと何だろうと興味はない」
「えぇ、えぇ、貴方は昔からそうだったわね。自分の勝手、自分の都合と言って、守りたいものを守る」
過ぎ去った時の旧友に向けて、【
「正直言って、気が狂ってるとしか思えないわ」
「狂っているんだ。始まりからな」
「まぁ、貴方が狂っていてもそうでなくても、構わないけれど——」
その笑みを崩さぬままに、【
「今日こそ、死んで」
死を宣告した。
「【
【
「【
世界に
「まさか俺が貴様を忘れ、【
「…【
「無駄だ。幾ら小細工を
一歩も動かずに、全力で襲い掛かってきた【
悔しそうに、しかし何処か楽しそうに、顔を伏せた【
「最高だわ。最高だし、最強だわぁ。さっきの【
心酔しきったアイドルのことでも話すかのように、【
【
「分かったなら、帰ってもらおう。今すぐ
「もし嫌だと言ったら?」
「力尽くでも出て行ってもらう」
「えぇ、そう言うと思ったわ。貴方は絶対に、殺さないから」
「俺も必要なら殺す。そうじゃないものまで殺す気は、俺にはない」
「あら、それは私も同じよ? でもそうね、
貴方のその優しさが、巡り巡って貴方を滅ぼすわ。
これは宣言出来る。だって、五千三百二十七の
「それで死ぬのならそこまでの男と言うだけだ。
「えぇ、勿論、出ていくわ。じゃあね、【
最後まで軽口を叩きながら、それでも逆らうことはなく、【
「【
【
「失礼をした、【
「いっ、いえっ、謝る必要は毛頭一色何人たりとも御座いません、ファ、【
「
「…謝ったはずなのだが、逆に謝られてしまったな」
少々苦々しく、それでいて微笑ましそうに笑った【
「基地に戻ると良い、〈
「え、す、全てと言うのは、【
「必要ならな。この惨状だ、どちらにしろ
「わ、分かり…分かったであるのである!」
「…ちゃんと
「それが良さそうだな。さぁ、行くと良い」
そう言うと二人の少女は、右手で胸を拳、平手の順に叩く、
「…さて、だな」
誰も居らず、地面が砕け、窓が全て割れ、数えきれない死体が溢れた、正に廃墟そのもののような大通り。そこで仁王立ちになる男は、この惨状を一瞥し、嘆息を漏らした。
しかし、彼が嘆いたのは、今日死に絶えた数多の命に対してではない。
「これまた酷いことになったね、【
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