栞の断片

霧継はいいろ

誰かの声

湯気

夕飯の支度のために、私は鍋に水を入れて火を付ける。お湯が湧いてくるとたくさんの湯気が立ち上り周囲を白く染め上げる。私の中で発想のイメージとはまさにこれだ。輪郭の掴めないモヤモヤが頭の中で湧いては消え、湧いては消えを繰り返す。だがふと鍋の上側を見ると、うっすらとした一束の湯気、立ち昇っているのが見えるのだ。その靄は微かで今にも消えてしましそうだが、はっきりとした輪郭でその全貌を見ることができるのだ。何かを思いつくときは少し上を向いてるくらいが丁度いいのかもしれない。

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