13−11

計画第2弾発動!


「でもぉ自分一人では心配だしぃ

地球の高度なお勉強について行けるか自信ないし……?

〜わからないからぁ…〜」


いいぞいいぞ、2人とも食いついてきた


これは勝機とみてググッと……!

クリストファーはここぞとばかり身を乗り出す


「でね〜っ……僕思いついたんだ

秀才の〜彼ウィンストン

常時行動のお目付け役で僕の許嫁のキャサリン

で…僕ーーーの 『計3名』で


治安のよいとコロニー外務省のお墨付きの〜国家へさ?

うん、だからねぇ〜

『ジャパン行き』、許可して欲しいんだなぁ〜〜」


ーーー……と、昨夜ベランダで

 

コッソリと明け方〜

一人でブツブツ猛練習したとおりにニコニコと

クリストファーはここぞとばかり、如何にもさり気なく、超お気楽な様子で会話を誘導した



「忍者だって見てみたいしー」


〜自慢ではないが…!

じゃじゃ〜ん♪


ーーー自分の忍者好きっぷりは王宮ではつとに有名だ


超有名故に〜

留学の『行き先』については全然変では無く問題にすらならないだろう


コンモリ部屋中至る所にグッズも溢れている


『これではダメな方がおかしい〜』

クリストファーは更に蒼白の顔色の両親に畳み掛けた


「ウィンストンだって……?

将来的に、Dー01でお父様を越える偉大な政治家を目指しているんでしょ?」


さあーーー頑張れ自分。根性見せろ

一晩中かかって練り上げた『留学作戦』の肝だ


「だったらとっても都合いいよねぇ〜〜!

『生きた経験』ーーーは

絶対絶対ぜーーったいに 彼の将来の糧になるしさぁ~っ!!」



クリストファーの父も母も

はしたなくも口をあんぐり開け、呆然と息子の演説を聞くばかりだった


『生きた経験』


~このワードはあいつの暴力親父〜

いや名命「クソジジイ」の

『輝く大好物言葉ベストテン第1位』だよなぁ……!!



清廉潔白(表向き)なーーー…

ハンサムで子煩悩な有名政治家と自負する御大が


キラキラアイドル並みにイイカッコし……!


恥ずかしげもなく、あちこちの演説会場でーーー…

 

「若人には生きた経験を~」と声を張り上げ


……支援者のおばさま方〜マダムや

うっとり目をトロンとさせる〜お年頃妙齢レディの前にて、如何にもキザに言いまくっていることをクリストファーは知っていた


ホロ映像でも確認済み!の、この姿


<留学>を認めないのは即ち、未来と可能性に満ち溢れる若者の…

『生きた経験』、チャンスを土足で踏みつぶし

言論不一致で阻止するということなのだ


ーーーつまり

今回の王太子が行った提案〜の否定は


「今までの発言は全~部、きれいごとでしたよ?

……皆さんごめんね? てへっ!」


〜〜と言う事に他ならない


「政治家として〜……私めは

D−01の全国民様と支持者様はおろか、自分は銀河中に『嘘』を言っておりましたーーーー!」


〜と自ら世間様に調子の良い言動を認め謝るという

最大級、致命的失策になるのだ



〜クリストファーとしては本当に初めての

 

如何に自分を無条件に愛する甘々な父親とはいえ


プロフェッショナルな強大な国策を握る相手を向こうに回しての、一撃必殺

〜〜伸るか反るかの、本当に負けられない大きな駆け引きだった


「たかが15歳の子どもの戯れ言……!!」


見くびられて足下を見られ、言質を取られないようーーー!


……計画を練りに練ったのだ


心臓なんてばくばく

ーーー本当に声が上ずりそうだったが頑張った


「……そうか

〜では大臣達と協議、いつか相談してみないとーーーー」



「うん

でもーーー…僕の願いと気持ちは変わんないよ?

宜しく検討のほうをお願いね!!」



クリストファーはニッコリと

『息子として最高の微笑み』を頬に浮かべた


「ヤレヤレーーーお前には敵わんなぁ」

 

でーーーその後直ぐに、彼はもう一つの手筈を整える


ウィンストンの自宅から学用品を届けて貰い、親友をその後も自分のプライベートルームに匿った


より親密さをアピール……!!

学園にもピッタリ一緒に、戦車みたいな馬鹿みたく無駄に巨大なリムジンカーで通った


彼が生家〜自分の屋敷に帰ったら今度こそ何をされるかわからない


『そこまでは僕も読み切れない』


クリストファーは心の中で昏く呟いた




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