太陽が昇らない街

バブみ道日丿宮組

お題:暗い夕方 制限時間:15分

太陽が昇らない街

 太陽というのは、朝に昇る。

 一般的にそう言われてるけれど、この国ではほとんどが夜。

 よくて夕焼け程度の昇り具合。赤と青がこの国のメインの色彩だ。

 そのため、作物は育てられない。

 太陽光を人工的に作り出してる場所であればいいのだろうけど、味は微妙。国産を買うという選択肢はない。他国から入ってくるものを買ったほうが明らかに美味しい。色合いもだいぶ違う。人参はオレンジというのが普通だが、この国でできるのは青。ほんと美味しくなさそうな色。

 太陽不足は作物だけでなく、人体にも影響を与えてる。

 蛍光灯に写る肉体はどれも不健康的な色。明らかに観光客と色が違う。ゾンビ映画に出てくるゾンビの色に近い。

 だから、最近太陽光をいかにして浴びさせるかという議題を国のトップたちは話し合ってるようだ。

 案として太陽の位置を変えるというのがあるらしいのだけど、太陽が昇らないのを人工的に昇らせるというのは不可能だと思う。

 もしそんなことをすれば、間違いなく他の国で異常現象が頻発に起こるだろう。

 太陽を浴びると生まれる栄養素というのもあるらしいが、お腹をいっぱいにすることはできない。

 無理して浴びる必要もないと思う。

 2000年も国として成立してるのだ。今更変化を与えたところで悪影響にしかならないと思う。

 そんなことをするならば、国民にお金を配ったほうがまだ栄養が取れそうなもの(嗜好品にお金をかける人は知らない)。

 というわけで、そんな要望を会議の場で出してみる。

 ざわつく会議室。

 当たり前のことをいったつもりであるのに。

 一人が国に言っても無駄。一人がいいかも。一人が子供だけに与えるべき。一人が意味がないなどなど。

 様々な声があがった。

 この会社は私が支配してる。

 多数決を取る前に、国に訴えかけるという案を可決させた。

 文句を言う人はいたが、顔を見ると視線をそらした。

 そりゃそうだ。

 首にされたくもないだろう。

 その権利は私にある。

 だから、好き放題。それでも国民のことを忘れたことはない。

 作った資料を消すと、私は会議室をあとにした。

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太陽が昇らない街 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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