第7話 お屋敷

「わあ、広くてきれいだね、お母さん。公園みたいにきれいなお庭」

「それはそうよ、あんまりにもダニが多くなっては大変だもの」


 お屋敷と言っても和風の屋根で、二階建てだった。だがそれと似た建物が何カ所かにあり、まるでちょっとした大学のようであった。屋根と同じくらいの高さの木もあり、遊びも出来るようになっている。

すると、一匹の黒猫がこちらにやって来て

「どうぞ、こちらへ、三毛様がお待ちです」

「三毛様のご気分はいかかでしょうか? もし体調が優れないようならば、このままネックレスだけお渡しして・・・」妻の言葉に

「いえいえ、数日前からそれは喜んでおいでです。あなた来て下さることで、元気を取り戻されたと、みな喜んでおります」

私と息子は顔を見合わせ微笑んだ。私たちはすぐに三毛様のところに向かった。

だが不思議なことに、猫人には一人も会わなかった。

三毛様の部屋につき

「すいません、お客人でいらっしゃいますが、ご自分で開けていただけますか? 」

「勿論です」

妻はそれは楽しそうにドアを開けた。


 真正面には、大きめの窓があり、小春日和の丁度良い日差しが、部屋全体に注ぎ込んでいた。その窓の側に籠があって、そこに横になって、トロンとした目でこちらを見る三毛猫がいた。


「三毛様」

「ああ、元気そうだ。ご主人と息子さんだね、本当に君達の子供だね、二人ともによく似ている」

うれしそうに、世界的な猫は言った。



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