S坂高校奇譚研究会のすべて! ー死に至る屋台
相田あざみ
プロローグ
それは、夜になると、どこからともなく現れる屋台の話。
人々はその灯りに惹きつけられ、屋台へと吸い込まれていく。
何の屋台? そんなのラーメンに決まってるじゃない。たぶん、ラーメンね。
人々はラーメンの匂いに惹きつけられ、屋台へと吸い込まれていく。
え? こんな春先におでんなんてありえないわ。バカじゃないの?
とにかく、人々はその屋台へと吸い込まれていく。
屋台は毎晩にぎわっていた。一度食べると病みつきになり、その屋台から離れられなくなってしまう。
その屋台は、知る人ぞ知る隠れた名店として、カルト的な人気が出るようになった。
なんかお腹が空いてきた? どうでもいいから、話の腰を折らないでよ。
しかし、この店には、恐ろしいもう一つの顔があったのだった。
この店の虜になった客たちは、呪いにかけられて、やがて死に至るという。
屋台に通いつめた客たちが、次々に謎の死を遂げたのだ。
自殺、病死、事故死、死因はまちまちだった。共通点は、その屋台の常連客であること、すべて突然訪れた不可解な死であること。
だから人はこう呼ぶようになった。
死に至る屋台。
いや、わたしがつけたんじゃないって。本当よ。うるさいわね。
毒物の混入か、大規模な陰謀か、はたまた本当に呪いなのか、真相は誰にもわからない。
ただ、わかるのは、一つだけ。
死に至る屋台を見かけても、決して近づいてはならない。
その匂いにつられて、口にしたら最後、もうそこから逃れることはできないのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます