詰みかけ世界の美魔女

犬時保志

第一章 詰み掛け世界に建国

第1話 神をも欺く超アンチエージング

「お疲れ様でした」

 スタジオでの、CM撮影が終わりました。


 私は70歳CMタレントです。

 食料品、健康食品、健康器具、化粧品等のCMに引っ張りだこの、美魔女と呼ばれる超人気タレントなんですよ。


 いつもの様に、控え室に隠り、老け顔メイクして帰路に着きます。


 私の特技と言いますか、素肌も70とは見えない綺麗な素肌ですが、メイクで更に30代に見えるように出来る事です。

 売れまくってる顔で、街中を歩くとファンが押し寄せ、大変な事になります。


 ですから、5~60歳位に見える、老け顔メイクが必要なんです。


 一つ残念なのは、年と共に歯が傷んで、タレント続ける為残った健康な歯も、全て抜歯し総入れ歯になっている事です。

 タレントに、綺麗な白い歯は必須です!入れ歯ですが(笑)。


 高級でも、地味な見た目の服を着た、老け顔メイクに白髪ウイグの私を、寿命としなが さい(芸名)と分かる人はいません。



 スーパーで野菜食料品を買い、関東煮(煮しめたオデン)用に中鍋まで買って、重い買い物袋を持ってバス停に向かいます。


「おばあさん重そう、持ってあげるよ」

 突然声を掛けられ、振り向くと高校生らしい2人の少年が、ニッコリ笑顔で、手を差し伸べくれてます。

「ありがとう、そこのバス停まで、お願いね」


「よかった、俺達もバス停に行く途中」



 荷物を渡そうとした時、少年二人と私は光に包まれました。






 眩しくて瞑った目を開くと、真っ白な空間にいました。


「「すっげぇ!これって異世界召喚だ!!」」


 私一人じゃ無く、親切な少年二人も一緒にいるのが分かって、少し安心しました。


「ねぇ、イセカイショウカンって何?」

「「えっ?おねぇさん?誰?」」

「お姉さん?」

 コンパクトで顔を確認すると、老け顔メイクが無くなって、下地の30代メイクが出てる、白髪ウイグも何処かに消えて、撮影用に染めた栗色ヘアーになっていました。


「私、寿命 最70歳のCMタレント、この荷物を持ってくれようとしてた、お婆ちゃんです」

「「あっ!!トシナガ サイちゃんだ!!スゲェ!!!」」



『何が70歳じゃ!!年齢詐称も大概にせよ』

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