セミダブル

ももいくれあ

第1話

重ね合わせた唇が

今でも私をおそってくる。

3年前の暑い夏に、

ちょっとだけのつもりだった。

気がつけば風が淋し気に

夏の終わりを教えてくれる。

むぞうさな彼の右腕に

いつも私は驚かされた。

無表情なその心に

いつも私は戸惑っていた。

いつのまにか後ろから

抱き寄せられた腕の中、

そんな些細なコトだった。

彼のその細い指や

低くとぎれる囁きが、

私の居場所を教えてくれた。

ただ、そうしているだけで

心から幸せだった。

触れ合ったままの朝をむかえ、

外はやっぱり晴れていた。

そのままただ1日を

穏やかに過ごしていた。

ようやく陽が沈んだ頃に

ちょっとだけ家を離れた。

そんな時間をごちゃまぜにした。

結局二人の間には、

一体、何が残ったのだろう。

ほんとの私がそこにいれば、

きっと違っていたのかもね。。。

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