ミルクティー

 「会いたい」、そう彼からメッセージが来た。私も会いたかった。でもお互い仕事終わりで、明日も仕事で隣の隣の街に住んでる彼の家からは片道1時間ほどかかる。

 「明日も仕事だし、きつくない?」

 「いいよ、少しでもいいから会いたい。会って喋りたい」

 私も会いたかった。メッセージして、通話していた彼がどんな人なのか気になった。

 私のアパート近くのコンビニで待ち合わせをし、ただ話したいがために、同じ時間を共有するために、ドライブといって、近くの小さな小さな展望台に夜景を見に行った。

 田舎町だからというのもあり、思った以上に明かりが少なく、それよりも自然が多く、お世辞にも綺麗と言えるような場所でもなかった。正直夜景なんてどうでも良かった。ただ、彼と会って彼の隣にいて話せたことが嬉しかった。想像していた以上に真面目で、以外だったことが、ミルクティーを飲んでいたことだった。

 「ミルクティー好きなの?」

 「めっちゃ好き」

 「コーラとかは?」

 「コーラよりミルクティー、お茶よりミルクティー」

 「甘いの好きなんだ、意外」

 「おいしいもん」

 私はお茶。ミルクティーはあまり飲まない、ジュースも。だから私よりも甘党な彼が可愛いと思った。


 初めて会った日は、ただ私ばっかり話してた気がする。緊張で話した内容なんか覚えていない。ただ彼は静かに聞いてくれていた。もう会えないかもしれない、そう思って別れた。


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