転生したら、なんだったのか

バブみ道日丿宮組

お題:ありきたりなお嬢様 制限時間:15分

転生したら、なんだったのか

 転生したらやり直せる。

 そんなことがあるわけないのに、皆蘇りを欲する。

 その神経はよくわからない。

 自分がその転生にあったとしても、やはり欲しいとは思わない。

 どうせなら天国に行きたかった。


 ーー剣と魔法のファンタジー。


 交通事故にあって、目が覚めた世界はそんなものだった。

 変わったものがあるとすれば、性別か。

 男だったものが、女になってた。

 違和感は最初の頃はしてた。

 知らない痛みを感じるタイミングは多かった。

 それでも、高校らしきところに入ると、だいぶ慣れた。ついてないものはついてないと割り切れるようになった。胸の柔らかさ、陰部の深さは驚くばかりであったが。

 異世界転生特有の特殊能力らしきものは見当たらなかった。

 魔法の才能も、剣の才能も、なにもかもが普通だった。

 無双したかったわけでもないし、これはこれでいいものかもしれない。スローライフを満喫しろという転生神のお告げかもしれない。

 唯一転生してよかったことといえば、お金に不自由なく暮らせるお嬢様であったことだろうか。

 かといって、この世界で欲しいものはない。

 地位や、職業で、上下があるわけでない。

 貧困層は存在するので、どうせならなにかしてもいいかもしれないと思い至った。

 そのためのお金であり、境遇であるというものだろう。

 とはいえ、そのためにはまず信頼関係を作ることからはじめないといけない。

 いろいろな職種についてる子どもたちがこの学校には通ってた。今コンタクトをとらなければ、おそらく二度と会える機会はない。

 そう決心すると、行動までは早かった。

 農家、警備、教会、不動産。

 どうすれば、飢えをなくした街にできるか、たくさんの人と話した。

 転生前の仕事であった営業力がここで発揮できた。

 そうして、きちんと管理された孤児院ができた。

 孤児といっても、その家族を保護するもので、子供だけでなく大人も保護する。

 プロジェクトが完了する頃には、私は拝まれるようになった。

 神だの、仏だの、いろんな呼び方をされた。

 嬉しくないわけじゃないが、そんなことを言われるためにやったんじゃない。

 誰もが幸せに暮らせる街を作りたかったのだ。

 いつの間にか街の名前に私の名前がついたが、何も言わないことととした。

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転生したら、なんだったのか バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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