「逃走と追撃」
夜を昼に変えてしまう
「ニコル、下がれ!」
ゴーダム公自身も
だが、距離を置いての
「下がれ!
「レプラーなら、レプラスィスなら追いつけます!
ニコルはゴーダム公の声を
そんな一体となった人馬の背中を見て、ゴーダム公の
「ええい、
少年の
「あとで山ほど説教をするからな!
「はい!」
一目散に
自分たちの速度に追いつき、今まさに追い
「こいつ!
速度が武器になっているこの
こんな一騎の騎士くらい、いまだ八十騎ほどを数える自分たちが
盗賊たちの一団を左手に見てレプラスィスを走らせるニコルもまた、それを
自分は盗賊たちをつまずかせる小石になればいい。仲間たちが散々に探し追ってきた盗賊たちを今、ここで
「止まれ! 武器を捨て、
ヒュッ! と何かが飛来する気配にニコルは
騎乗したまま弓で矢を放つのは高等技術だが、やはり安定した地上で放つのよりは無理がある。盾から受けた衝撃の軽さで、その射手がそれほどの技量を持っていないことをニコルは察した。
「こいつらは騎士団から身を
だが、ニコルの読みは少しばかり、
「――散開しろ!」
「うっ!?」
このままひとかたまりのまま盗賊たちは逃走する、そんな
「自分の都合のいいように判断してしまっている!」
「ニコル! 指示をした盗賊を
後方から速度を緩めずに追撃し続けるゴーダム公の声が轟いた。
「そいつが頭目だ! 頭目だけを
「――あいつか!」
一群の先頭に位置していた紅い覆面の盗賊、そいつが頭目だとニコルは断じた。
高い密度に固まっていた馬群が散っていく様を後方から追うゴーダム公も
「頭目についていくだけの集団だ。これほどの規模で副官もいなければ下士官もいない」
ゴーダム騎士団であれば、最高指揮官となる隊長一人に十人以上はいてもおかしくない。下士官は自分の直属としてついた
そんな組織作りがなされていないということは、それまでの集団であるということだ。
「
飛び出したニコルを
「は、はい! ――
少年が
「――退け、退け退け、退けぇ!」
全身を流れる血が加熱されるのをニコルは感じる。
「――マズいな!」
地面に叩きつけられ、うめき声を上げる盗賊の体を
「配下を盾に逃げ切るつもりか! こいつらの代わりはいくらでもいるということか!」
そんなゴーダム公の声が聞こえているように、壁にした配下の騎馬たちの向こうで目だけをのぞかせた紅い覆面の頭目が後ろを向き、
その手に
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