「初陣・――咆哮」
まさしく空気を
「うわっ!」
当然、待ち構えている
頭の中では。
だから
基本的に接近戦を主体とする騎士は、接近するまでに受ける攻撃をしのがなければ勝利できない。その重い装甲を支える足となるのが馬である――だから騎士は
だから、中隊長のチャダも下士官という立場の
「矢だ!
とても一
「この数の矢は何だ!?」
「落ち着け! 混乱するな!!」
制止の言葉も効果がなく、
「全員下馬! 盾を前から外すな!!」
「
最初の
「後ろから!?」
チャダの疑問は、振り返った
「後ろは
「
チャダの命令を待つことなく、後方からの矢の攻撃にさらされている騎士見習いたちはそうしていた。金属が矢を弾く音が耳を貫くようにして
「倒れた馬を積み上げて
「
「シフィー、すまん!!」
小川の
盾の上部を小さくくり
「後方にも三十人の賊が壁を作っています!」
「あの旅人、賊は五、六人などといい加減なことを抜かしやがって! 五、六十人はいるじゃねえか!」
「まだわからないのか!」
准騎士の
「あの旅人も盗賊の仲間だったんだ!」
「でも、どうして自分たちの
「俺たちがジネドの村に着いたら、俺たちにこの拠点の全容が知れる! 六十人も盗賊が集まっている鉱山内の拠点を村人が気がつかないわけがないからな! もしもこの鉱山内に六十人も賊がいると聞かされたら、お前、どうする!」
「それは、鉱山の入口を包囲して賊を
「それをさせないためだろうが!」
こんな
「賊の規模が五、六人だと知れば俺たちはこの戦力でも
「じゃあ、どうするんです!?」
「どうする――――」
准騎士の声にチャダは目を泳がせた。今、ここですべきは原因の
倍の戦力の賊ぐらい、騎士団の実力ならば余裕で倒せる――
が、今は逃げ場がない
馬は目の前で見えているだけでも六頭が倒され、背中にしている後方でも似たような状態になっていることだろう。馬に乗って出口に
「こんな状態で取り残された奴は、
チャダは腹を
「――准騎士五人は
「アリーシャは」
後方にいるはずの女騎士のことを
「あいつに脱出した一団の
「わかりました」
「ここで盗賊たちに嬲り殺しにされるよりも、部下たちを見殺しにして生き恥をさらす方が
「騎士は
恐怖のために歯の根が合わなくなるほどに震えようとする口元を剣を持つ
「すまんな。苦情はあの世で聞く」
「自分も特に反対はしませんでしたから、連帯責任って奴です。ではチャダ正騎士、最後のご命令を」
「
盾の
「全隊、聞け! 今から最後の命令を発する!! 我々准騎士五人が――――」
ここに残り、
たとえそれを口にできていたとしても、全員にその声が伝わることはなかっただろう。
「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
その叫びは、その場にいた命ある者、全ての
その中でたったひとり、例外がいた。
金色の
それは金色の魔狼か、はたまた
この場にいる百人近くの人間全ての
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