「マートン商会の正体」
「なるほど、現在はそういう
栄養を
いきなりの栄養を受けて体が
「今回はなんとか
「
「フィル、この状況を打開する何かいい方法はないかい?」
「三つほど、頭に
「そんなに!?」
「さすがフィルだ! 教えてよ!」
「では、わたしの考えを
こほんと
「一、殺す。二、殺す。三、殺す」
「殺すしかないじゃないか!」
「殺すしかないと思いまして……」
「殺しちゃダメだよ! ああ、
「そんなに
「暴力以外で解決させないと意味がないよ……。
「ですが、おそらく無理だと思いますね。特にそのカルレッツという男性に対しては」
「…………やっばり、そう思うのかい……?」
薄々わかっていたことではあるが、他人の口からそれを聞かされると、ニコルの心は沈んだ。
「彼は商人の子です。騎士の子ではありません。家がどうこうということではなく、商人としての
「商人の魂と、騎士の魂……」
「ニコル様のお話は、ニコル様の話をわかる人にしか伝わらないということですよ。説得は、
「…………」
「……僕は暴力で相手を
「困りましたね……」
カルレッツとダクロー、その二人を
「せめてそのカルレッツの親が
「カルレッツが
「……そろそろ食堂が閉まる時間らしいです。食器を返して
フィルフィナは
「ああ、ありがとう。魚料理は
「
「鱈……海の魚…………」
スカートの
「――フィル、ちょっと待って」
「はい?」
「おかしくない?」
「何がですか?」
ニコルの口走りにフィルフィナが
「僕が今食べた魚だよ」
「おかしかったですか? 美味しくて、変な味もしなかったのでしょう?」
「どうしてマートン商会が魚を
フィルフィナの首が
「王都とゴッデムガルドは近くはないけれど、絶望的に遠いということもない。
「そういえば、アーデスの街に加工工場があるとかなんとか聞いたことがありますね」
「なら、ますます旦那様の手の内なんだよ、このゴーダム公爵領は。それにこの魚の新鮮さは、『
「……食堂の裏手にその箱がたくさん置かれていましたね。食器を返すついでに、
「何を確認するの?」
「その箱に
◇ ◇ ◇
「やはり、箱はフォーチュネット水産会社のものでした」
ものの五分で帰ってきたフィルフィナがそう報告した。
「ニコル様が
「それなら、このゴッデムガルドに魚を納めているのはマートン商会ではなく、旦那様の会社になるはずなんだ。でもそうではない。フィル、この
「フィルは、このカラクリがだいたいわかりました。ニコル様、考えてみてください」
フィルフィナが
「すぐに教えて差し上げてもいいのですが、それではニコル様の成長になりませんから」
「厳しいなぁ。ええと、つまり……旦那様の会社とマートン商会は、商売上のつながりがあるはずだ。旦那様がただ、マートン商会に品物を
「どうぞ」
「うわあ」
「
「びっくりした! どこからこんなもの取り出したの!」
「女には色々と秘密があるものです」
「フィルに秘密があるんだけなんじゃないか……そもそもこんなものをどうして持ち歩いているのさ?」
「毎朝、新聞の株式市場
いつの間にかフィルフィナの目に、太い
「まあ、それはいいや。ええと、マートン商会、マートン商会と……」
「わたしがめくりましょう」
「ええと……株式会社マートン商会、会長の名前はパテシリア・マートン……カルレッツのお
ニコルは資本参加関係の欄を見て、思わず声を上げていた。
「なんだ、ゴーダム公爵領の流通を一手に引き受けているのに、マートン商会は子会社なんだ。株式の過半数を『エルカリナ中央流通機構株式会社』に
「確かにそうですね」
「――じゃあ、この『エルカリナ中央流通機構株式会社』は……」
フィルフィナの手によってまた紙面がめくられ、『エルカリナ中央流通機構株式会社』が
「この会社、たくさんの子会社を持っているな……十五か二十社くらいある。どれも各地の商会ばかりだ。商会を
「ニコル様、この会社の資本参加関係をご確認ください」
「えーと、どれどれ…………あ、あれれ?」
目当ての
「ここの株式の過半数を持つのは、フォーチュネット水産会社? ということは……」
「そういうことでございますよ」
フィルフィナは微笑みながら言い、ニコルはその結論に大きな声を上げていた。
「――マートン商会は『エルカリナ中央流通機構株式会社』の子会社で、その『エルカリナ中央流通機構株式会社』は旦那様の会社の子会社……じゃあ、マートン商会はフォーチュネット水産会社の孫会社、つまりは旦那様の会社ってことになるんじゃないか!」
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