「再会・王家の血を継ぐものたち」
コナスは、
「ぐううっ!」
勢いで開いた左目、その視界が歪む。まるでひしゃげるように。
「う……う、うう……」
一分前、自分がなにをしていたのかコナスは本気で思い出せなく、身をよじろうとした――腕も、脚も、胴体も動かせない。
「こ……これは……」
大きな
「ここは、どこだ……」
目に見えるのは、今まで歩いていた通路とそれほど変わり
「やっと目が覚めたか、豚」
右――視野の外から声がしたと同時に、
「ぐっ」
「なんだ、痛がらねえのか」
ただ、その
「……い、痛いよ。痛いけどね、僕の腹はほら、厚みがあるからね……」
「ふぅん。でもな、
ひやっ、とした
「ぐうううぅぅっ!」
左脇から右脇に、矢のように走った激痛が
「おお、いい声で鳴いてくれるじゃねぇか。まあ、当然だな。俺が
「き……君たちは……」
コナスはその声、いや、口調の方に覚えがあった。誰なのかは
首をゆっくりと
六人……いや、七人の男たちが立っていた。そのままでは大通りを大手を振っては歩けなさそうな男たちばかりだ。
つい昨日会ったばかりの男たちだった。そして、縛られている以外は、同じような格好にされた――。
「君たちは、屋敷を
「おお、やっぱり覚えてくれていたか」
「ぐぅ! ぐぅっ!!」
左脇腹、昨日短剣で深々と刺され、
「そこらでやめとけ」
「まだ足りねえだろ。こいつのせいで仲間の首がふたつも飛んで、お礼をしなくちゃな」
「気絶されると時間を食う。あの
男の声が終わらないうちに、ふぅっ、と空気が揺らいだ。
男たちがかしずくように足を
腰を曲げて体を折ろうにも、後ろ手で背もたれに縛られているがために動けないコナスが乾いた笑いを浮かべる。
「……は、ははは、これは、これは……」
「――久しぶりだな、コナス」
地に足が
にじんだ青い光で作り上げられたその姿は、現実的な
そんな、
「カデル・ヴィン・ヴォルテール……か……」
コナスには、懐かしい姿だった。ある意味、本当に懐かしかった。
「君は……本当に、お変わりないようだ。三十年前、最後に会ったそのまんまじゃないか……」
「そういうお前はずいぶん歳を食ったようだが、昔の
「ありがとう。童顔だというのは、よくいわれるよ……。しかし、僕は立派な中年になってしまったのに、君は少年のままか……う、
「国王代理
「い、従兄弟殿か……ふふふ……」
笑いに力が入らない。お互いの母が姉妹である従兄弟を、こうも
「国王代理っていうのも、面倒なだけでね。
コナスの肌から
「今の君には、代わってもらうわけにはいかないな……」
「コナス。お前はずいぶんと変わったようだな」
子供が大人に語りかけているとは思えない、見た目を超えた
「昔は母親に
「守るべき大事なものが、この王都にはあるからね……」
「ベクトラルの家のことか」
「そんなものはどうでもいいんだよ」
カデルの
「僕はね、あの屋敷が燃えてくれて、むしろせいせいしてるんだ。この
「では、なんだ? あの王都に、お前が守るべきなにがあるというんだ?」
コナスは答えなかった。汗がしたたる顔で、小さく、暗く笑うのが返事だった。
「……わからん奴だ。まあ、いい。お前から二つの瞳、『青の瞳』と『
「それが、こいつ、持ってないんです」
青い炎の影が、
「気絶している間に体を改めましたが、なにも持っていません」
「……それを持っていたら、今頃こんな余裕顔でいられないよ。そうだろ」
「貴様……」
幽鬼のような姿が一歩、前に出た。
「持っているはずだ。持っているからこそ貴様は迷宮を突破できようとしていたんだ。あれをどうした!」
「あれを僕がそこらに捨てるわけがないだろう。あれを君の所まで持っていかないと、君の野望を
「ということは、まさか――!」
「ま、順当に考えれば、それしかないね……」
ふふふ、とコナスの口元から笑いが
「君が欲しがっている王家の
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