第48話 後戻り出来る限界点
そんな僕の××に変化が見え始めると崎の態度が一変した。
「聞いてない! なに? なに? その凶悪そうで禍々しい鈍器のような物体! 兵器じゃないそんなの! あり得ないんですけど! 怖い、怖い!」
「あのなあ……。君はすい今しがた、自分はお父さんの現物を見慣れてるから平気だって、そう言ってたじゃないか? 男なら、まあ一部の例外を除いて、健全な男子のこの有り様は至って普通の現象だと思うんだがね。見ての通り抗ってもどうすることもできないし、自分の意のままにならない代物だってことだな。君だって当然、書物やネットで見聞きして知ってるだろう?」
あられもない姿を晒しながら同級生の女友だちに力説するには、あまりに説得力のないことは重々承知の上だが男の生理現象を否定する気は毛頭ない。
「でも、その原因を作ったのは君だぞ! 君だって自覚はしてるはずだぞ。その豊満なオッパイにどれだけの価値があるかってことを。僕に言わせれば、君のそれがとんでもなく凶悪な兵器に見えてしょうがないんだがね!」
「だから、聞いてないって! 聞いてない! 聞いてない!」
崎の狼狽度合いはこちらが想像していた以上のレベルだ。
「無理! 無理! こんな大きなモノ入んない! 入るわけない!」
やっぱ、一応出し入れすることは分かってるんだ……。
僕自身はいたって温厚な性格で、バランスの取れた性格をしていると勝手に良い方へ解釈している。
しかし、男の下半身には別の人格が宿っているのは説明不要だろう。
事ここに至ってはすでに手遅れ。
理性では抑えきれるものでは無くなっている。
まして精神力や根性では、どうにもならない現実があった。
「自分でコントロールできればとっくにそうしてるよ。こういう生き物なんだとしか言いようがない。男っいう存在は須らく、女の子の挑発的で欲情をそそる姿を見たり想像しただけで、普通はこんな状態になるものだ。覚えておくといいぞ。君の愛して止まない出雲王子の××だって、興奮すれば同じようになるから心配するな」
「出雲君はこうはならない」
即答だあぁ!
秒で反論来たよ!
崎の“出雲愛”は普遍だった。
「いや間違いない。100%こういう状態になるって! あいつだって一皮むけばただの男だ。それに僕の××××が特別大きい訳じゃないぞ。そりゃ、大きいって言われて喜ばない男はいないと思うが……」
「それにしたって、そんな大きなモノ……」
「大きなモノがって? まあ、いずれにしろ男性側がこういう状態にならない限り、アレが使用可能になって、そのう……行為が……できない訳で……」
「セックスができないってことでしょ?」
なかなかその一言を言いあぐねていた僕より、よっぽど女の子である崎のほうの肝が座っている。
「なんとなく、うすうすとは想像はしていたけど、現実に目の前で見せつけられるとさすがに……、何ていえばいいのか……。いや、いや、やっぱ無理! 無理! 無理!」
この数分間、平然とした態度で僕の暴発寸前にまで達していたジュニアを眺めていた崎の言葉とは思えない。
それだけ崎の動揺の大きさが伺える。
僕にとっては崎の態度の変化は意外だった。
今までの彼女の言動や態度、文脈からひも解くに、当然男性の生理現象についても熟知しているものだと勝手に思い込んでいた。
が、どうやらその内実は少し違っていたようだ。
要するに、戦闘状態に入った男性生殖器を見るのは初めてなのだろう。
書物やインターネットでの知識は、同年代の女子に比べてはるかに知識を豊富に持っていたはずだ。
或る一線から上は意識的に情報を遮断していたことがうかがえる。
一方、僕は僕で、そそり勃つ暴れん坊のことが気がかりだ。火口から××××氏腺液(俗に言う××汁)が溢れ出てはいないだろうか?
もしも……もしも、タラ~リと涎を垂らしてなどいないだろうかと……。
さすがに男としてその様な醜態を晒すのだけは阻止したかった。
しかし、ここからが崎の本領発揮といったところ。
自分の父親の皮を被ったままの第一形態。
続いて初めて見る父親以外の男性自身のムキ身の第二形態。
そして最終形態の姿を目の当たりにして、新たな興味が沸々と涌いてきたようなのだ。
崎の興味の対象は徐々に、×の下にぶら下がっている下膨れの球体に興味が移っていった。
冷静な眼差しで見つめる崎の視線の先には、おいなりさんのような袋状の物体が。
一応はその正体と名称、役割等は知っているはずだが、左から右からそしてしたからと、観察に余念がない。
「上?……、下?……」
「回転してる?……」
「楕円?……」
もう完全に無双状態。
全裸で直立不動、ついでに股間部位も直立不動。
それを間近で見つめる、白いビキニ姿のグラマラスな女子高生。
余りにもシュールな倒錯した図柄。
『今なら、まだ引き返す事が可能な限界点ギリギリだからな』
どこかで幕引きを図らなければ……と、心のどこかで僕の良心の叫び声が聞こえた気がした。
このままでは、負の無限ループにハマってしまいそうだ。
至極真っ当に考えれば、この恐ろしくも不道徳な状況を一刻でも早く脱することが最優先事項だろう……と、頭では分かっていても躰が言うことを利かないのだから、どうしようもない。
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