大みそかの共犯者
きりしま
第1話
十二月三十一日、僕たちは共犯者になることにした。
「ウリさん、準備いい?」
「うん。ポリー君は?」
「ばっちり」
この日のためにつけたコードネームを口にして、僕たちはニッと笑い合う。
またがるのは自転車。漕ぎ出すのは夜の街。風が冷たくて、むき出しの耳が切れそうに痛むけれど、ぐるぐる巻きのマフラーに埋められるだけ顔を埋めて、僕らは走っていく。
「ポリー君。今日、付き合ってくれてありがとう。あたしたぶん、今日のこと一生忘れない」
並走するウリさんが、髪を顔にまとわりつかせながら可憐に笑う。
「大げさだよ」
僕はとっさに笑い飛ばしたけど、本当のところは左胸の奥の方で「僕も同じだ」と感じていて、でもそれを口には出せなくて、強く強く、ペダルを踏みこんだ。
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