リスナーのみんな、おはしゅり♪ 駆け出しVTuber「潤主アシュリ🌳💖」クリスマスライブ配信~聖夜の贈り物~編だよ♪ 「離れていても繋がることができる。それがVTuberだから――」

マナシロカナタ✨2巻発売✨子犬を助けた~

第1話

「そう言えばのど飴を切らしてたんだっけ」


 12月25日。


 アシュリはこの時、ちょうど1時間後に迫った「クリスマスライブ 潤主うるすアシュリ🌳💖~聖夜の歌ってみた企画~ 新曲あります♪」の配信準備をしてたんだけど。


 お気に入りののど飴を切らしていることをふと思い出したんだよね。


「ちょっと買いに行ってこようっと」


 配信の休憩時間にお気に入りののど飴を舐めて、喉と気持ちをリフレッシュするのがアシュリの日課なんだよね~。


 アシュリのマンションから最寄りのコンビニまでは10分もかからないし。

 配信の準備の方はほとんど終わってるから、ちょっと出かけても問題ないよね。


「さすがアシュリ、準備がちゃんと終わってて、えらい♪」


 アシュリはお財布とスマホを片手に、てくてくと近くのコンビニへと向かった。


 お気に入りののど飴と、ついつい手に取ってしまったモンブランと苺ショートのクリスマスケーキセットを一緒に購入。


 持ってきたエコバッグに入れて元来た道を戻っていく。


 世界樹のVTuberたるもの、環境にも配慮しなくては一人前とは言えないのである。


 ほら最近は世間でも流行ってるよね?

 SDジー……ええっと、なんだっかな?

 えへっ、忘れちゃった♪


「まぁアシュリはまだまだ一人前とかそういう以前のレベルなんだけどね、えへへ……」


 え?

 それよりもなんでケーキが2個入ったケーキセットを買ったかって?


 それはもちろんアシュリが2つとも食べたいから♪

 自分へのクリスマスプレゼントなんだ♪


 だってクリスマスって、キリストさんっていうすごく偉い人のお祝いをする日なわけでしょ?

 つまりケーキを2個くらい食べてもいい特別な日ってことだよね♪


 えへっ、こんな完璧な理論を思いつくなんて、アシュリえらい♪


 そんなことを考えながら、


「ふんふん~♪」


 今日の配信でお披露目する予定の新曲のメロディーを鼻歌で奏でながら、アシュリはマンションの近くまで戻ってきたんだけど。


「あれ? 公園に女の子が1人いるよ?」


 すっかり日も暮れて暗くなった公園のベンチに、小さな女の子が一人ポツンと座っているのをアシュリは見つけちゃったんだ。


 どうしたんだろう?

 迷子かな?

 寒くないのかな?

 お腹減ってたりしないかな?


 色々と思うことはあったんだけど、


「あの子、すごく悲しそうな顔してる……」


 何より女の子の表情が今にも泣き出しそうに見えたから、アシュリは急いでその子の座っているベンチへと駆け寄ったの。


 突然近づいてきたアシュリに気付いた女の子が、少し怯えたように顔を上げる。


「ねぇねぇ君々。こんな時間にこんなところで一人でどうしたのかな? 君のお名前は? お父さんとお母さんは近くにいないのかな? 良かったらアシュリに話してみない?」


 だからアシュリはしゃがんで女の子と目線を合わせてから、とびっきりの笑顔で優しく話しかけたんだ。

 アシュリは怖い人じゃないんだよってことが伝わるようにね。


「あしゅり……?」

「あ、私の名前だよ。アシュリはアシュリって言うの。可愛いでしょ?」


「アシュリさん……あ、えっと、私は小林メイです」

「ふんふん、メイちゃんね」


「それであの、お父さんはいなくて。お母さんと2人で住んでて。でもお母さん、急な仕事が入って今日は帰ってこれなくなったって……」


「あ、そうだったんだね……」

 母子家庭、と言う言葉がアシュリの頭をよぎる。


「クリスマスのお祝い、一緒にするって。ケーキ買って帰るから待っててねって言ってたのに……ぐすっ、お母さんの嘘つき……」


 口にしたことで改めて今の自分の状況を認識してしまったんだろう。

 女の子――メイちゃんはグスグスと鼻をすすり始めてしまった。


「そっかぁ、うん。それはすっごく悲しかったよね。アシュリも一人でいるとすごく寂しいもん。あ、じゃあさ? お母さんの代わり……は無理かもだけど、アシュリがメイちゃんと一緒にいてもいいかな?」


 だからアシュリはそう提案してみたんだ。


 だって、もう暗いからすぐに家に帰らないとだめだよ――今のメイちゃんにそんなことを言うのはあまりに酷いって思ったんだもん。


 アシュリがVTuberをしているのは、アシュリの歌と配信でみんなを幸せにしたいから。


 そんなアシュリが、目の前で泣いているメイちゃんを泣かせたまま、お母さんの帰ってこない家に帰らせるだなんて。

 そんなことできるわけないもんね!


「アシュリさんが?」

「だめかな?」


「だめじゃないけど……アシュリさんはいいの?」


「いいに決まってるよー。じゃあそういうことで決まりだね♪ せっかくのクリスマスなんだからアシュリと2人で楽しもうね~♪」


「うん! ありがとうアシュリさん!」


 メイちゃんに嬉しそうに言われて、アシュリも胸がふわふわっと嬉しくなってくる。


 だよね♪

 やっぱり女の子は笑ってないとだよね♪



―――――


 アシュリのお話を読んでくれてありがとう♪


 気に入ってくれたらフォローと☆で評価してほしいなっ♪

 ☆は3回まで押せるよ♪

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る