第6話 私を引き止める人達

 塚本先生と私は、いつも通り一緒に出勤した。

 

 副院長から呼び出しがあった。

 

 「塚本先生、お元気になられて何よりです。あなたはこの病院へ勤めてもう長い。仕事も優秀ですから、体調を崩さないようにしてくださいね。ところで、、、」


 副院長は先生に見せる笑顔や凛々しい顔とは違い、ギョロリとした目で私を見た。


 「山崎さんが塚本先生の邪魔をしたようですね。今度邪魔するようであれば、出るとこ出ますよ!」


 副院長は吐き捨てるように言った。


 塚本先生は何も言わなかった。私を庇うでもなく、意義を唱える訳でもなく。


 これでは、私が参ってしまいそうだ。私が全て悪い❔なんだかものすごくストレスがかかる。逃げる場所がない。

 

 病棟で仕事の最後に電子カルテで記録を打っていると、小川係長がすっと現れた。


「大丈夫❔話を聞こうか。」


「もういい加減にしてください!」


小川係長の顔色は変わらない。


「もううんざりなんですよ。小川係長と関わると、何もかもおかしくなるんです!」


 八つ当たりだ。完全なる私の。ああ、あと30分もすれば塚本先生が来る。


小川係長は小声で私に言う。


 「山崎さんは転職した方がいいと思う。ここにいては君がおかしくなってしまうだろう。転職先なら紹介できる。」


 


私は記録が終わってからすぐに自宅へ帰った。

1人で。

またバチが当たるのだろうか。



翌日、私は一人で出勤する。

すると、塚本先生は小川係長と一緒に出勤する。

私の心臓がバクバクする。動悸だ。

もう誰も助けてはくれない。私は溺れたくない。

小川係長が取られた(寝取られた❔)今、私はこの病院でやっていける自信がない。


 私は退職したい旨を師長に相談した。


 私は引き止められることもなかった。

 昼休みに退職願を書いた。


 いざ、師長に提出しようとしたが、何故かそこで引き止められた。


師長はこう説明した。


「ベッドコントロール室と言うのがあって、そこに看護師の副院長がいるのよ。あとは、経営権を握る事務長がトップに。事務長は厚生労働省の天下りで、この病院のお財布係なの。今回は、事務長とベッドコントロール室の上司に感謝しなさい。」


 ベッドコントロール室にいるよくわからない上司と、さらに庇う理由がわからない事務長。私の敵と味方との間に何があるのか。今はよくわからなかった。


 

 

 

 


 

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