第14話 電話越しの女子トーク(穂香視点)
すごく心地良い夢を見ていた気がする。心が温かくなるような夢を。どんな夢だったっけ?裕司がいたことは覚えてるけど、詳しい内容は覚えてない。鮮明に覚えてる夢もあればあまり覚えてない夢もあるから残念に思ってしまう。
ただそんな少しのモヤモヤを目に映し出された景色が吹き飛ばした。目に飛び込んできたのは裕司の寝顔だった。
え、何?何が起こってるの?それに、忘れてたけどここって裕司のベッドだよね!?ああ~いい匂い、幸せ!…じゃなくて!あ~幸せ過ぎてどうにかなっちゃうよ~!離れようにも裕司にホールドされててこの天国から抜け出せない。
そもそもなんでこうなったんだっけ?ああそうだ。裕司と写真撮影しててベッドシーンで寝ちゃったんだ。まあ仕方ないよね。裕司の匂いに包まれて幸せだったんだから。ただ、今のままじゃ生殺しの状態が続いて悶々とするだけ。でも起こすのは裕司に申し訳無いからダメ。とりあえず、今はこの幸せを噛み締めつつ……、裕司の寝顔を堪能しよう!
いつもはクールでキリッとしてるのに寝顔は優しいんだから。こういうところも好き。
写真撮りたいなぁ。そういえばスマホどこだろう。写真撮影に使ってたから莉加が持ってるのかな?
そう思いつつ辺りを見渡すとベッドの上にスマホが置いてあった。良かった、これで写真が撮れる。
何枚か撮って見返していると、今日の写真が出てきた。あーんして抱きしめて…思い出しただけで恥ずかしい。顔が熱くなるのが分かる。とりあえずこれらを美萌ちゃんに送ろう。今日のことは全部美萌ちゃんたちカップルのせい、だから少しはやり返してもいいよね?そう言い聞かせて写真を送る。
数分後、美萌ちゃんから電話がかかってきた。
「もしもし?」
『もしもし?じゃない!何、この写真たち!嫌がらせ?』
嫌がらせじゃないんだけどなぁ。
「い、いや、送られてきたから送り返そうと思って…。」
『それにしてはやりすぎよ。まあ私達としては、二人のラブラブ写真を見れて満足だけどね。』
「言わないで!あと私達って何?」
『今、涼くんとデート中にかけてるからね』
『やっほー』
すると電話はビデオ通話に切り替わった。
『ほのちゃんは今どこにいるの?ほのちゃんの部屋とは雰囲気が違うような気がするんだけど。』
「えっと、今、裕司の部屋。」
『『えっ!?』』
『どういうこと!?』
美萌ちゃんが聞いてきた。まあ当然の反応だよね。
「そ、そして現在こんな状況でーす。」
そう言って私は隣で眠っている裕司を一緒に映す。二人が画面越しに呆然としているのが分かる。
『もう二人はそこまでの関係に…。』
「違うよ!断じて違うからね!」
涼くんの発言を慌てて否定する。まあ確かに今の状況だけ見れば、完全に添い寝か事後だもんね。
『じゃあなんでこんなことに?』
「えっと…、送った中の最後の写真の時に二人してそのまま寝ちゃって…。」
『びっくりした~、てっきりもう二人が大人の階段登ったのかと思ったよ~。』
「そ、そんな訳ないでしょう!」
『でも、幸せだった?』
「うん!」
「う、ううん…うぁ…」
裕司が少しうめき声をあげた。ちょっと声大きすぎたかな?でも今のでちょっと平静を取り戻せた気がする。ありがとう裕司。
『じゃあこのまま起こしちゃっても悪いし、そろそろ切るね。』
「うん、またね。」
『今度二人の愛の巣にお邪魔してもいい?』
「あ、愛の巣って…、ていうか、まず家主の裕司に相談しないとね。」
『あっ、そうだったね。』
「オッケーな日があったら連絡するから。」
『ありがとう。またね~。』
「うん、またね~」
『我慢できなくなったら襲っちゃいなよ~』
「襲ってって、ちょっと美萌ちゃん!?」
ツー ツー
切られた…。美萌ちゃん、最後に爆弾落として逃げた。いっつもこうなんだから。
「どうした?そんな小難しい顔して。」
「えっ?裕司!?いつ起きたの?」
「さっき」
だとしたら、電話の声で起こしちゃったのかな?ごめんね裕司。
「で、何を悩んでたんだ?」
「いや、美萌ちゃんたちが裕司の家に行きたいって言ってたから裕司が許可するかなって思って。」
「俺の家にねー。まあいいよ。どうせ宿題終われば暇になるし。」
「ホント?ありがとう!早速連絡しとくね。」
「別にいいけど、その前にメシにしようぜ」
「あっ、そうだね。莉加のことも忘れてたし。」
時刻は午後六時だから二時間ちょっと寝てたことになる。
「じゃあ行こう。」
「おう。」
二人同時に起き上がって部屋を出て下のリビングに向かう。何気ないことかもしれないけど私にとっては結構な幸せ。こんな時間がずっと続けばいいのにね。
〈あとがき〉
次回、カップル襲来!
毎度のことですが投稿間隔が長くなって申し訳ありません。読んでくださる方の期待に応えられるように頑張っていきます!
少しでも面白い、続きが気になるという方は
・小説のフォロー
・応援
・☆☆☆の評価
・コメント
よろしくおねがいします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます