いつかはまだ遠い青
宇土為 名
0
好きだと自覚した日のことは忘れられない。
好きになったのはいつだったのか。
覚えていないほど昔。もしかしたら初めからだったかもしれないし、そうじゃなかったかもしれない。
ずっと昔から一緒にいたからその境界線にまるで気がつかなかった。その先の、その一歩を──いつの間にか踏み出していたことに。
だから。
「
「えーなに、父さん」
小学校最後の夏休み、アイスを食べながらテレビを見ていたおれに何気ない一言を掛けてきた父親の言葉。
「父さん、実は、一緒に暮らしたい人がいるんだ」
「へっ?」
慌てて振り向いた。
ソファ越しに見る父親は照れくさそうに笑っていて──
「あのな…」
もしも。
もしも今、戻れるのなら。
あのとき。
その言葉の後に続く名前を知っていたら、…
「…え?」
こんなことになると知っていたら。
おれは全力でその場を逃げ出していたのに。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます