おばあちゃん

健さん

第1話

俺の名は、福沢幸男。旅行会社のHという会社に勤めていて、兄弟は、いない。一人っ子だ。俺が、小学校6年で、12歳の時に父親が交通事故で、死亡して、しばらく、母親と2人で生活していたが、やがて、母親が、パート先の男と、できてしまい、俺を、おいて蒸発。俺は、父方の母親、つまりおばあちゃんに育ててもらった。よく、カップ麺の”赤いきつね”を食べさせてくれたっけ。おばあちゃんが、自分で、作った温泉たまごと、茹でたほうれん草を入れてくれた。当然、俺は、おばあちゃん子で、優しいおばあちゃんが好きだった。でも、俺が、25歳の時に老衰で亡くなった。苦しまないで、逝ったのが、せめてもの救いだ。俺は、現在、コロナ感染で、旅行業界が、衰退してしまい、ついに、俺は、リストラ、いわゆる、”首”、解雇になってしまい、無職になった。ハローワークに通って何社か、履歴書を送ったが、面接まで、たどりつけず、全くダメ。人生しょっぱいよな。貯金を切り崩して今は、生活している。正直失業保険だけでは、足りない。無職の生活をいつまでも、やってる場合ではない。大袈裟に言えば、ホームレスになるか、微妙なところだ。そんな中、ある人から、情報が入った。同僚だった、同期で入社した、川村ひろしが、生活苦で、自殺したとの事。俺も正直、へこんでしまい、自殺を、考えたことはないと、言えば嘘になる。ある日、寝ていて、夢におばあちゃんが出てきて、「幸男ちゃん、〇×町にある、”トラ株式会社”に、応募しなさい。きっと、採用してくれるわよ。」(変な夢見たな~。たしかに、〇×町にライオンじゃない、”トラ”という会社は、あるが、、、、。)俺は、早速、おばあちゃんの、”夢のお告げ”を、信じて、履歴書を、送った。それから、1週間が、経ち、とりあえず、面接してくれることになった。緊張したが、何とか、無事に面接を、終えた。それから、更に1週間が、経った。俺は、急に、”赤いきつね”が、無性に食べたくなった。そういえば、もう何年も食べていなかったな~。俺は、近くのコンビニで、その、懐かしい”赤いきつね”を買った。そして、アパートに戻り、ポストを開けて見ると、郵便物と、一緒に、トラ株式会社の郵便物が。内心、(どうせダメだろう)と、思いながら、部屋に入る前に、封を切って、内容を確認すると、”入社決定通知書”だ!!やったぞ~!(死ななくてよかった。)そして、部屋にもどり、俺は、赤いきつねを、食べた。おばあちゃんが作った温泉タマゴと、茹でたほうれん草は、ないけど、、。何か、おばあちゃんが、目の前にいて、笑っているような、気配を感じる。仕事が、決まったのもおばあちゃんが、導いてくれたおかげだ。ありがとう、おばあちゃん。これからも、見守っていてね。自然と涙が出てきた。俺は、食べかけの赤いきつねを、泣きながら食べた。涙が、入ったかな?少し、しょっぱい味がした。(終)

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おばあちゃん 健さん @87s321n

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