第207話―東京都の中心部で交錯される4―
東京駅は、ここ東京の玄関口だ。
とくに景観をよりこだわりを感じ取れる。
皇居の前にある内堀通りから丸の内中央口までを結ぶ道を
「取り引き先から博識な方がいてだな。
その博学多才な人によると行幸通りには正式名称があるらしいんだよ」
季節によってその表情を移り変わるのが特徴な通りを並んで歩いているのは山脇移山。
無駄に忙しくスケジュールのビジネスマン。
無意味なほど接してくれる距離感。それと……不必要な時間を費やすことをする変わり者。わたしなんかような小汚い女なんかを連れてきて何が楽しいというのか。
「へぇー、そうなんだ。それでどんな名前なのかだけは聞いてあげましょう。どうせ聞いてくれる人もいないでしょうからね。
あー、なんて健気な箙瀬比翼」
「冗談とは分かってはいるが痛いなあ。
んじゃあ正式を答えると。
「思ったよりも堅苦しい名前ですね」
「まだだ、まだ終わらんよ……
「な、ながいだとッ……」
「
最早ここまでいけば続きがまだあるのではないか?そうして待ってみたがこれで最後だったらしい。いくつか間を置いたから整理すると。
東京都道404号皇居前東京停車場線。
「長すぎませんかソレ」
とてもじゃないが覚えれない。そして覚えていても活用する場面がかなり限られるし、その辺は長いとだけ覚える程度で十分だろう。
一体だれがこんな長々と自己満足みたいなネーミング付けたのは。おそらく知識人でも知らない人は多そうだ。
「だろう!俺もそれは覚えさせる気ゼロだろってツッコミした。その元官僚の人も苦笑だったぜ」
もう二十代後半になっているというのに少年みたいな屈託のない笑い方をする。
年相応にもみえて変に純粋で前だけしか進まない兄とそこはよく似ている。
「へぇー、ふーん。
元官僚の知り合いいたんですね」
「ビジネス取り引き先だ。んな事より写真とか取らなくていいのか?せっかくの
若い女らしくインスタとか投稿しとけよ」
景観を撮るのを待ってやるぞと遠回しな言い方をとる移山。なんでそういうアジテーションを立てるような言い方なんかするのかな!この人は……。
「そう奨められると返ってしたくなくなるもの。
というかインスタとかに投稿しろって発言は、今の若い子はこれが楽しいんだろって見下されているように感じましたよ」
「おう、そうか。それはすまねぇなぁ。
ならツーショットを撮らねぇか?兄貴や冬雅の姉貴に送ってやろうぜぇ」
「ど、どうしてそうなるんですか!?
わたしと撮っても楽しくないじゃないですか」
「楽しいかは終わってみねぇと分からねぇだろう。それは終わった結果だ。
まだ最後まで観光してみねぇと判断つけない」
「終わった結果ですか。人生哲学なんかを」
「それだけ苦労して乗り越えたから身についたんだよ。比翼もそうだろう。まだ生徒なのにスゲェよ。
で、どうするんだ撮るのか?それとも撮らねえのか」
「まあ、これも一興という奴です」
「はは。そう一興だ。
まったく話をして飽きない性質している。そのまま好奇心を申し子でいけよ比翼」
まただ。またその人懐こい笑顔を包み隠そうともせず向けて言葉をいう。その言葉の込められたものは何だろうかと探るが……わたしには読めない。陰と陽が溶け込みすぎた異物な真意を図ろうとするのは容易にはいかない。でも理解はできるのは肯定していて背中を押している。そして行動方針を否定しないことも。
「……JKと撮りたいなんて提案するにしても選んだ方がいいですよ」
「おう!善処するぜぇ」
この返事からして善処しない返事だ。
わたしは反抗するように盛大にため息を零すのだった。そして銀杏の前で並んで立ちながら位置を調整をする。カメラを撮ってみたが一回目は目がつむり失敗。二回目は離れていたりと上手くいかなかった。そして三回目のときだった。
「クールな日のはずが。どうしてだ比翼……貴様なんかと出くわすとはなぁ。
それも驚いたが、それだけじゃない。
今日は生徒会で議題の発案ためインセンティブを向上しようとした。
そして……その隣の人はだれだ!」
「ど、どうして
私服姿をしていた生徒会長がこちらに震える指を向けて問い掛けてくる。行幸通りにまさか偶然にも会ってしまうとは……不幸。
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