第203話―冬アニメは延期が多い件―
明日は彼女と一日すべてアニメ鑑賞で費やする。
この日は曇り。起きてベランダに立つと冬雅は暗雲を吹き飛ばすような眩しい笑顔で手を振る。
「心からビックバンでスーパーノヴァ大好き!
えへへ、お兄ちゃん今日もいい天気ですねぇ。
えっへへへ、おはようございます」
全力全開な愛情表現。
「うわぁッ眩しすぎる。でも笑っている冬雅は俺も……悪くないよ。おはよう冬雅、でも今日は今にも雨が降りはじめてもおかしくないよ」
付き合ってそれなりに日が重ねても冬雅はオーバーな愛の言葉をやめない。いや余計に悪化しているような……まぁ健全だからいいかな。
「本当ですねぇ。つい浮かれて視線はピカピカで明るく眩しいのです。
わたしと相思相愛で最愛のお兄ちゃんが毎日こうして逢瀬を重ねたら晴れです。
ふむふむ、冬雅らしい言葉だ。とくにアレンジを加えた四字熟語を口にしている。
心頭を滅却すれば火もまた涼しで有名な
この出来事は信長公記という家臣が記され事実性の高いとされる一次資料。けれど心頭を滅却すれば火も亦涼しが残された辞世の句はその資料には記されておらず焼死されたのに一体この最後のセリフは誰が聞いたのか懐疑的で別人ではと考察がある。
それはさておき冬雅は飛び越えようとしていた。
「うわぁぁ。冬雅そんな危険なことやめなさい」
「えぇぇぇー。でも……分かりました。しゅん」
隣の家からベランダとは橋でも掛けるなり接続したら違和感がないほど目と鼻の先にある距離。
しゅんセリフは男性の俺でもあざとい思ったが悲しいかな男性のサガと諦めるべきか愛らしい。
「朝ごはんは、どうするんだい?」
「もちろん朝は、お兄ちゃんの一緒に取ります。あっ!そのあと昼も夜も」
この日常生活も悪くないと心が暖かく包まれていく会話。ベランダから部屋に戻り一階に降りる。
すぐ来るだろうと俺は昨夜から作っておいた味噌汁を温める。そしたウインナーを焼いて卵焼きを同じフライパンで朝の朝食を取りかかる。
インターホンが鳴る。
ピンポンの音に冬雅が駆けつけてきたと玄関に向かいドアノブを回す。
「おはようございます。お兄ちゃん今日も誓いの言葉を……愛しています」
「ふ、冬雅また挨拶するんだね」
「はい。一回では足りませんからねぇ。
告白も挨拶だって何度も言いたいのです」
頬の筋力がとけるように柔和に笑う。
これは中毒性があって色々とヤバいですね。どれだけヤバいか?語彙の欠片も残らずヤバいで埋まるほどにヤバい!
この日も冬雅とデート。
料理を並べて向かい合うように席につく。
「それじゃあ、お兄ちゃんアニメ鑑賞デートしましょう!いっぱい観て語り尽くせないほど楽しみましょうねぇ」
「ああ。それじゃあ先ずはどれから観るかい」
「ニーアオートマタ。
あやかしトライアングル。
スパイ教室。
痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。などですかねぇ」
んっ?何故そこで複数を挙げたのか……。
「冬雅よ。泣く泣く延期となった作品だよ。
分かって言っているよね君は?」
「えへへ。けど残念なことばかりじゃないよ。お兄ちゃんと楽しみにしていた異世界おじさんの最終回が来月の三月に決まったのです。
八日か九日の予定とか。ひろがるスカイ!プリキュアも無事に始まりました。お兄ちゃんと素敵な作品を観ることで思い出の共有が増えて幸せです」
我が彼女は天使のように笑う。フム、そういえば天使系のアニメもありましたね。
なんというかタイトルが俺がそうみたいで思い浮かぶのも憚る。けれど思い浮かぶ程度なら。
『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件』で原作はラノベである。
一応もし誤解するかもしれないので俺と冬雅とは全く関係のない。ティーンエイジャーの甘くてクスッと笑いの癒されて提供するアニメ。
たまたま隣が同じで、それを除けば俺と冬雅との関連性はない。どうして俺はこんな弁明みたいなこと並べているのだろうか。
「あ、あはは。それじゃあ最初はダンまちから見ようと提案しますがどうでしょうか?」
「賛成です!」
アニメの延期した確かな情報はないが原因と考えられる一つにあるのはコロナの拡大によるものと出ている。作画や良質な作品を作るため多くの方が頑張っている。
あまり無理せず良質なアニメがまた観る日をゆっくりと進行してもらいたいものである。
それまでは見返したりして放送する次回のそこときまでな待つとしよう。
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