第143話―ツムギ余談Ⅱ―
不死川紬が学校へ行けるようになったこと祝うパーティーは、お開きとなる。吹っ切れることがあったのか勇気が湧いたかは定かでは無い。
こちらからの視点では、それは突発的な行動ではあるけど驚くことはあれど予想していないわけではなかった。
苦境に立たされても時間が挑める心を作るから。
とはいえ復帰したとはいえ苦しい場所とある。どこまで訊いていいのか配慮して詳しくは訊かなったが刻まれた傷跡は完全には癒えてはいない。
そして今後から通学するだろう学校。その教室には原因であるのを改善されているか不安材料は山ほどある。
とはいえ不死川さんは一歩前進したのだから後ろ向きな意見や気持ちでいてはいけない。
根本的に解決するよう影で支えるとしよう。
並べられた皿を運びながら不意に感じていた違和感。手伝いを遠慮して一人であと片付けをしているが彼女たちは輪を作るように集まって相談している。
(俺を置いて集まって相談しているよ。
またロクでもないことでも話をしているのだろうなぁ……)
危機感を感じて先手を打つことにした。
「ほらほら、そろそろ帰宅の支度をして帰らないと親御さんに怒られるよ」
早く帰るようにと催促する。
ほとんどが頷いたり素直に返事する中で花恋だけが無言で前へ出ると顔を見上げて言う。
「それなんだけど東洋お兄ちゃん。
夜になるまで私たち騒いでいたよね。こんな夜更けに比翼たちだけで帰られるのも危険でしょう。見送るにも大人数だし負担が増えてしまう」
「いや、そうでもないかな。
色んな話を聞くのは小説のネタには困らなくなるから助かってはいるよ」
その一瞬だけ沈黙が降りる。
またすぐ花恋は呆然としていた状態から抜け出すと何も無かったように話をしようとする。
「なら負担の掛からないことは何か?
それは、お泊まり会することです」
お泊まり会……もしこの意味をすることが、ここで宿泊する。未成年の少女が男性の家に複数で泊まる、理解するまでの時間が要するセリフであったが今日が突拍子のない発言をしたのが初めてじゃなかった。
「それは駄目だからね花恋。
これを提案されて承諾なんて出来るはずない。そもそもとして……ここはホテルとか宿泊施設じゃないよ」
基礎的な順序や常識なんかを置き去りにした無茶な提案なんかを聞き入れるわけがないので一蹴して応えた。
夜の帳が降りたから夜道の一人は危険性はある説明は同意だったが泊まることが解決策となることが理解に苦しんだ。
それに、これで退く花恋では無い。
「それは普通の男性ならね。でも東洋お兄ちゃんはその枠から外れている。もちろん良い意味で」
それは褒められているのかなと思わなくもないが信頼されているのは理解したが俺の返事は「それでも答えはノー」である。
「そうでござるか。ですが、お兄様は真奈と二人きりのほうが客観的に問題でごらぬか」
独特な喋り方をするのはペネお嬢様。それまで傍観していたペネお嬢様がおもむろに歩き花恋の隣に立ち、遅れて反対側には猫塚さんも並んで位置に進んだ。
「そういうこと。兄が聖人のようでも真奈さんは違うかもしれませんよね。ということで監視の目は必要ですよ」
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