第137話―ツムギの教室と仲間と―
二度と足を踏むことは無いだろうと思った学校。
ここまで来るのに付き添ってくれたカナカナ。その途中まで待ち伏せていたヒヨヒヨ書記、ついでにグカンショウ?の名前の生徒会長。
「どう久しぶりに来た学校は?」
左に立つ美少女の類に入るだろう美貌のカナカナ。どういう意図なのか無意識なのか、カナカナは腕を後ろに組んで前屈となる姿勢となって横から顔を覗くようにして尋ねた。
「実感は……なにもないね。なんといいますか期待させてしまって本当にごめんね」
「どうして紬が謝るのですか?おにいちゃんに感化されすぎた花恋に謝るならともかく。
生徒会の交渉として知り合いの学校だからヒマだから顔を出しに来ただけだから謝る必要はないかと?」
わたしが変に空気を重たくさせた。そのことのをヒヨヒヨは和らげようとしてか欧米のような俳優さんみたいな肩をすくめて微笑というスマートなことをした。
しかし私よりも華奢でそれをすると小さい子が爪先を上げているような微笑ましいものたった。
「ねぇ、その設定もういいんじゃない比翼。
それに言い訳が長い」
カナカナがそう指摘するとヒヨヒヨは頭を搔く。
「たしかに説明しておいて体裁を整える欠けらも無いか。
そんなことよりも紬せっかくですから椅子に座りましょうよ。それで写真を撮って冬雅おねえちゃんに送って報告しておかないと」
「冬雅さん……どこか聞き覚えのあるような。
……アレか!?かつて在校していた我が校で純白の天使と謳われ柘榴坂を照らした女性の」
手をあごに触れながらグカンショウ生徒会長は、驚愕した顔でそう述べた。
知らないところで中心的な人物の高い評価が流布されているにボクたちは三者三葉と思う。
「あのフユミンが。純白の天使か……」
呟いたボクの中では恋愛に関しての
なので名付けるなら気狂いの天使が妥当だと思うのだ。カナカナはフユミンと接点はボクよりもあるはずなのに自分の事のように誇らしげな顔して頷いているし、ヒヨヒヨは頬を掻きながら苦笑をこぼしている。
「んっ?また俺なにかやっちゃたか」
なにか無礼なことしたのかと顔でキョトンとなるグカンショウ生徒会長であった。
楽しくて仕方のない取り留めのない会話。しかし教室に移動したのはそんな会話をする為じゃない。
いい加減に前を進まないといけない。
その第一歩というにはオーバーだけとボクは自分の席についてこそスタートに立った気がするのだ。そんな覚悟を決意していたのかヒヨヒヨが話をやめると周囲にそう察すような目線を送る。意外にも頭の回転は速いカナカナは理解して首肯。そしてもう一人というと。
「そう視線をたびたび送られると落ち着かないなぁ。比翼書記よ伝えたいことがあれば言葉にして伝えた方がいいじゃないか?」
「じゃあ黙りやがれください」
「だ、黙りやがれ……だとッ!?」
反射的に怒鳴るものかと思ったが、どうやらそんな事はならなかった。グカンショウ生徒会長はマジで肩を落として落ち込んでいた。
可愛そうにと同情的にな気持ちになる。
「さあ、紬」
いつもは茶目が強いカナカナは手のひらを広げて進むべき方向を指し示す。
まるでレストランで案内と歓迎される光景。
「うん」
ここの教室に入るのは初めてだ。
学校には行ったことはあるもののそれは今年ではく何年前かの出来事。このために汚れた制服をキレイにして袖を通している。
おもむろだと思う。ゆっくりと歩いて進む次席の前でボクは顔を上げる。
椅子を引いて座る。やっぱり感情の機微はなにも起きない。それはそうだ。勝手に進学して知らないうちに自分の机があると送られたのだ。
それで感動や負の感情など湧くはずがない。
だけどボクがそれでも身近な人達は違った。
「うわあぁーーッ。念願のとうこうだよぉぉ」
号泣するカナカナ。
「くうぅ、まさか涙が落ちるなんて。
こんなわたしでも人としての情が残っていたなんてね。てへへっ、まだ未熟かな」
カナカナよりも盛大に泣き叫ぶことは無かった。それでもヒヨヒヨが強く感動しているのが見て取れる。高級そうなハンカチで拭う。
「くっ、苦しいんでいた生徒が再び立ち上がろうとする瞬間を目にするとは。
立派であるぞ」
何故か他校のはずの生徒会長も感涙していた。
「いやいや貴方は初対面でしょう!」
カナカナのツッコミ。
「まったくだよ。どうして涙がもろいのか?」
やれやれと両手を広げて呆れるヒヨヒヨ。
けど、二人とも涙腺が崩壊してか声が震えているため上手く聞き取れない。
「ええーい。そんな些細なことなど見ていない。我ら生徒会は……否!俺はこの日本をいずれは統べる男だ。
いずれ民の一人一人を助けようとする気概を持っている。だから見知らぬ人など存在しない!」
なかなかの大言壮語を恥ずかしげもなく言い切った生徒会長。これにはボクたち三人は息を合わせるように一斉と笑う。
何がおかしいと怒られたが、そんな揺るぎを感じさせない自信を告げられたら凄いと思ってしまう。こんな人がいるのかと一種の感動をしていた。
笑いが収まるとヒヨヒヨはカバンからスマホを取りだしてボクに向ける。
「じゃあ写真を撮るね」
「えっ?あー兄ちゃんたちに送って確かそんなこと言っていたね。うんキレイに撮ってね」
そう頼んでボクは
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