第138話―ツムギパーティー外光―

そろそろ此方こちらに向かって三十分ばかりでやってくると比翼が報せてきた。

そしてラインメッセージで送ってきたのは無事に終わったことを簡潔的な内容と付け添えた写真も届いていた。


「比翼からの現状報告のメッセージが届いた!

どうやら心配いらないそうだよ。

友達と同行したのが大きいかったようで不死川さんは無事に教室に入ることに達成したらしい。

それも不快になるようなこともなく前向きな言動していたみたいだね」


「フフ、必ず紬なら乗り越えれると思いやれる心を養い、適応度も上がっていたので上手くいけるはず。

そう確信していたけど……お兄さんの口から聞くまでは少し不安あったけど。よかった本当に」


どうしているかと気になって、なかなか勉強に集中できなかった隣に座っていた真奈は胸のつかえを下りる。

安堵した真奈は、ペンを置いて俺の手を握ろうとテーブルの下に自然にと手を伸ばす。

滑るようにして優しく膝上に置いた手を重ねるように上から握ってきた。

もはや驚くことは無いと思っていたが手のひらで握るのと違うされ方に年甲斐もなく心拍が速まった気がした。落ち着くのだ。

真奈の手からは暖かくて安らぐを覚えながらも反抗するように困惑が襲う。


「ふーん、あの子がね。どれどれ見せなさい」


左の後ろから明るく勝気な女性の声。真奈とは、かつて同じ学校を通っていた香音も

不死川さんのことで心配して訪れてきていた。ただ本人は真奈さまに謁見しに馳せ参じた次第であり、それ以外の用事は一切の関心のないんだから来たわけじゃないからね!と見事なツンデレセリフを数時間前に頂いた。

連絡が来るまでは香音も趣味で時間を潰して待っていた。


「あっ、私も気になる。どれどれ?」


透き通ったボイス。年の離れたJKである友達の猫塚さんが右の後ろからスマホ画面を覗こうとやって来た。ちなみに猫塚さんは予定が空く時期が続いていたスケジュールが今年になってから急激に増していた。本人いわく、楽しいしファンや苦しんでいる人達にライブで癒す。やり甲斐があって忙しいのは光栄なことで誇らしいと喜色満面な表情で語っていたことを思い出す。

そのため勉学など時間を割るのも厳しくなり、そんな貴重な時間を不死川さんのために待機して待っている。しかし話を合わさないといけないと断れずにいるだけかもしれない。

なるべく無理に付き合わないよう次から配慮して今は真奈にお願いして勉強を見てもらっている。

自分の勉強しながら年下の勉強を見てもらっている真奈には負担が増えて心苦しいかったが遅れてを取り戻して欲しいと選択してしまった。

真奈にはあとで報酬を用意しないと。この日やってくれたことに対してのお礼である品と言っても受け取らない可能性あるので日頃の感謝とか口実に渡すとしよう。

だけど真奈は俺からのお願いを断ろうとしない性質あるので頼るのは最後の手段と肝に銘じておこう。


矢文やぶみが届いたようでござるか」


猫塚さんに続けるように画面を覗こうとして来るのはサファイアの長女であるペネロペお嬢様。

やはりペネお嬢様は猫塚さんと仲がいい。

いまは三人娘の一人である花恋はいないが。

さっきまでブルーレイディスクを入れて令和で撮影されていた新しい時代劇を視聴していたのだ。

再生して一時停止をしていたのは〖居眠り磐音いわね〗という作品。そしてローテーブルの上に置かれているのは趣味と思われる私物のブルーレイのパッケージのタイトルに〖殿、利息でござる〗〖引っ越し大名〗と最近のものが置かれている。やはりパッケージなどのイラスト、よく知らない俳優さんを一目だけで平成後期か令和で制作された時代劇だと分かる。


「フフ。ここにいるワタシたちは紬のこと、どうしても気にしまいますねぇ。

お兄さんどんなメッセージが?」


満面な笑みを浮かべて真奈は、普通なら恥ずかしいだろうセリフを平然と口にする。

さすが真奈。

俺はスマホを持つ手を前に突き出すように伸ばして全員が見えるようにする。メッセージと共に送られた写真。その写真の中には照れながらも拙く笑っている制服姿の不死川さんの姿があった。

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