第37話―ギャル冬雅の一日目―
思いついたら実行する勢い冬雅に持て余しながらも俺は朝食の下ごしらえをする。
すぐ来訪のため電子音が台所に届く。
来訪とはいえ冬雅が食べに来た。
もう戻れくれているかなと淡い希望を持ちながら玄関に足を向ける。
玄関ドアを開ける。その淡い期待は外れてしまい冬雅は現在もギャルのコスプレしていた。素朴な疑問、けっきょくギャルの
定義って曖昧すぎないかな?
「えへへ、だいしている人の作る料理サイコーですね!」
「毎日そうして喜んで食べてくれると作り甲斐があるなぁ。それで冬雅、
「むむ、まずドキドキじゃなく納得しないところですか。応えてもいいですか、勝負しましょう」
オレンジギャル冬雅はそう提案した。ふむ、冬雅が勝負を挑んできた。
えーと、手持ちのポケモンはジュカインとレジアイスの2匹だからどれにしようかと別のことに思考して現実逃避。
そんな現実逃避してから冬雅の言葉の裏を読もうと思考の回転を速める。けど本人に聞いた方が早いと結論する。
「どうしてゲーム?」
「ギャルといえばゲームかなと思いまして」
「主観的なセリフってことは、冬雅もギャルそんなに知らないのか」
「えへへ、お兄ちゃんと居る時間を優先していますのでギャル分からなくなりましたからねぇ」
照れ笑いをしながら後頭部を掻いて言う冬雅。いつもと違う容姿だからか心に弾む威力が高い。
ギャルもいいけど一周まわって冬雅のいつもの素顔である顔を見たいと持つ。
普通な感覚ではあるが特殊な考え方。
いつもの素顔を見たいなんて綺麗事で心からそれを想っている人はいない。それは今でもその考えは変わっていない。
たぶん素顔を見たいと願望を持つようになるのは冬雅がコスプレして別の姿に別の人のように演じるようになってから、ある種の寂しさを覚えていた。
「ここまでサービスしてくれるのは嬉しい。
けど、やっぱり俺はいつもの……いつもの冬雅を見たい」
「お兄ちゃん……えっへへ、最高な告白です。わたしも大好きですよ!」
恥じらいとも満面な笑みで冬雅は告白で返す。最後の辺りから冬雅は俺が発したのを愛を告げていると捉えている。
偽らない、飾らない。覆われていない冬雅の顔を見たいと伝えたいだけなのだけど愛の告白ではないと指摘するには冬雅は多幸感に浸かっているから、とても指摘は出来ない。
それに想っているのは、あながち間違っていないからだ。
「はは、そうだね。じゃあ食事にしよう。
すぐ運ぶから待っててくれ」
「ううん、わたしも手伝います。恋人ですから一緒に!あ、愛の作業になりますよねぇ」
「冬雅……落ち着いてくれ。またスゴいことを言ってるよ」
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