第27話―ネオ・ニュー・バレンタインデー―

キリスト歴の2022年。

日付と時刻は2月14日、PM02:54分。

キリストが転生してから数えての2022年目となる年、その日はバレンタインデーがある。

つい心が弾む。冬雅に告白をしてから恋人となって初めて恋人から渡されるのだバレンタインチョコを。冬雅と出会う前はバレンタインチョコなど貰ったことない当時を

振り返ると信じられない。まさしく――

これこそ一陽来復いちようらいふく

オンライン授業を終えて冬雅は今から突入するとラインで送信してきた。

玄関の取り付けたボタンを押して鳴る音に俺は急ぐように早足で飛んでドアを開ける。

どこか、ソワソワした冬雅は挨拶して表情に出さないよう普段通りに挨拶を返す。

あれ?冬雅だけではなく後ろに真奈と花恋もいる。二人は状況的から察して俺が冬雅を選んでしまった瞬間にフラれたと感じているはずだ。そう示唆するような発言だったと

思ったが改めて口にしないといけないのかと

悩んでいると花恋が後で他の方も来ると

言った。

な、なるほど他の来るのか……花恋と仲のいい猫塚ねこづかさんとペネお嬢様の2人だろうなあと思う。

なら菓子類などを用意した方がいいかなと検討していたら真奈はカバンからラッピングされた小さな箱を取り出す。そして平野真奈は言った。

――早速だけど。これ、親愛するお兄さんのために手作りしたバレンタインチョコだよ。

ふむ、まさか冬雅と恋人になってから日が浅いのにバレンタインチョコを渡されるとは夢にも思わなかった。

流石さすがに、もう真奈たちからバレンタインチョコを貰えないなんだろうなあと

考えていたからだ。常日頃にこやかな表情を窺うと、おそらく友情のバレンタインチョコことかな。そう俺は解釈してお礼を告げる。

たぶん、冬雅と真奈の二人がいるのはバレンタインチョコを一緒に作ったんだろう。

きっと和衷協同わちゅうきょうどうな雰囲気で。

では寒い外に立たせるのも、申し訳ないので三人をリビングに寛いでもらおうとして家の中にどうぞと片手を広げてみせて勧める。

冬雅と真奈は嬉しそうに頷いて返事してくれたが花恋はボソッと言った。

――まるで援助交際みたいだと。

……そ、そうなのか。俺的にはそんなつもりは無かったんだが。思いもよらない発言にショックを受けて俺の振る舞いを客観的にと振り返ってみて分析する。

けど、そんな非人道的のようなことを言っていない。ふむ単に、俺が知らないだけか。それとも花恋が八つ当たり気味に口撃したのだろうか。それを尋ねるのも良くないので俺はそのまま案内をするのだった。

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