ネガティブJKだった冬雅は今日も際限なく告白する
立花戦
終局の浩然ホライズン
第1話―挫けない告白―
――そうか、これは。目の裏からでも焼き付くような光に差し込まれてから気づくいた薄暮は夕暮れ。夢から現実に移る一瞬の光景。
しかし現実は頭や目は機能を果たさない。
真っ暗にある状態だった。
「うーん。……お兄さん手を離さないで」
次に白く
カーテン遮らない零れる光が射し込む。
起きないと。
朝食の用意しないといけない。
「ワタシはお兄さんだけの……すぅー。」
さっきから聞き覚えのある声が聞こえる。
毎朝ここに欠かさず来る子がいる。
まるで自宅のように使う彼女のために弁当を作らないと間に合わないから。
目覚めた特有に
その拒絶感のある瞼というドアを押すようにして開いて立ち上がる。
そこで異変に気づく。俺は誰かの手を繋いでいた。
(おっと、そうだった。
気をつけないと
もはや、こうして一緒に寝ていることが慣れていて慌てたり驚くこと無くなった。
それが魅力的な女の子が横たわっていることに性欲では無く愛おしく感じる。
おかしいと分かりながらも隣に眠っている美少女の横顔を眺める。
花さえ恥じらう容姿を誇る
つややかな栗色は長くて髪を後ろに、まとめたポニーテール。白を肌に混ざらせたようにした美しさ、小柄でありながら豊満でグラマラスの体型。そして問題あるとすれば格好――
露骨といかなくとも
これは異性には見せてはいけないと思う。
「フフッ、お兄さん。これからは夫婦だねぇワタシたち……」
今のは寝言?
(……いやいや、真奈よ。一体どんな夢を見ているんだよおぉぉぉーーーッ!?)
危うく叫びそうになった。危ないよ本当に。
絶世の美女から、お兄さんと呼ばれているが実の妹ではない。
血を繋がってもいなければ義理の兄と妹でもない。ただの形だけの敬称でそう呼んでいるにすぎない。
彼女と知り合ったのは二年か三年と前になる。
それまでは俺に対しては決して心を許さずに警戒しており危険人物として俺を監視して見張っていた。
その監視する起因とされたのは友人のためであり変な大人と付き合っていることに
懸念しての行動であった。
そう、俺は大人。今年が最後の20代になる。三十路まで一年とちょっと。
そう遠くないというのに19歳の彼女は、夢の中で夫婦になっている生活を幸せそうに見ている。
十歳も離れているのにそんな夢を見ていることに愛情が込み上げては心を痛む。
「真奈…どんなに愛してくれても俺は、君とは付き合うことなんて出来ないんだ……。
法律的には、もうそんか問題なくても、歳が離れすぎているからなんだ」
起きているなら、こんな残酷とも取れる拒絶の言葉は言えない。
直接に告げばいいのか分からない。
こうして呟いた言葉は鼓膜を超えていき体内にある心を貫いていく。
自己嫌悪が広がっていく。
寝台から音を立てないよう気をつけて出る。
カーペットの上を体重を掛けると足が冷たい。
締めていたカーテンの
生活リズムとして刻まれた行動からカーテンを開けてみて後悔する。真奈が気持ちよさそうに寝ているというのに何をしているんだ俺は…。
「あれ?」
「―――」
窓越しから手を振ってくれる女の子。
腰まで伸ばした、その黒髪は陽光に照らされて元々ある
包み隠すことという考えなど抱いたことも考えたことも無いような純粋無垢からくる大きな瞳に笑顔。
真奈とは対称的と称したら失礼になるが体型はスリムで背は小さくて小柄な印象を与える。
そんな彼女の名前は
俺の想い人であり大事な存在。
目が合って見詰めていることに自覚すると俺は静かな狼狽が心の中で走った。
まさか29歳もあろうが大人が、まだまだ大人とは洗練されない彼女に心を奪われるとは…我ながら恥ずかしい。
このまま逃げるようにして閉めるか迷って葛藤したが不自然であるし遅い。
いることを認識された状態なので彼女を無視することは選択から消えた。
窓越しからの光にぐっすりと眠る真奈をどうにか目覚めないように気をつけながら俺はカーテン手でスライドするように開けてアナログな鍵を解いて窓を開けるとベランダに出る。
「えへへ、お兄ちゃんが起きるなんて感激です。
きっと、わたしの心の電波が届いたんですねぇ!間違いなく、これは奇跡ですねぇ」
そんな強引な理屈をさも当然かのように言う。まったく太陽にも負けないほど眩しくて暖かくて明るい。そんな無邪気で優しく愛情たっぷりの笑顔をこちらに向けて浮かぶ。
ここまで冬雅が嬉しそうな笑顔で言っているが声量は小声である。
いや、後ろにいる真奈を気遣っていて目覚めないよう配慮してくれている。
ベランダから数十ミリもない距離で冬雅の自室からのベランダと面と向き合うような位置。
これはアニメなど関係が幼なじみ設定には、ままあるベランダでの日常会話。
もっとオタクらしい
「そういうことにしておくよ。
さて冬雅…いくら温かそうなルームウェアをしているからって、ベランダに長くここで立っていると風邪を引くよ」
「そのあたりは大丈夫ですよ。わたし免疫力だけは高いですし寒さ対策もしているんです。
でも、すぐ身を心配してくれたのは凄く嬉しいかったですよ。うん!ありがとうねぇ、お兄ちゃん!」
くっ、なんて眩しいんだッ!?
心の底から愛情と信頼が向けられた笑顔に思春期の時期ように
いや、かつて思春期にあった頃の冬雅よりも照明度が比較にならないほどに強い。
もし俺が学生時代だったら気絶するレベルだ。
まぁティーンエイジャーだった頃の俺は付き合った経験はないので現在と比較するのは間違っている。
「たぶん誰でも心配することだし、特別な感情に抱いている相手なら
つまり向けられるのは冬雅だからなんだよ」
冬雅が好きだからこそ、優しさを向けているんだと素直には面と向かって言えない。なのに何故かこんな屁理屈な表現をしてしまう。
それでもストレートな言葉は変わらない。
意味が伝わった冬雅は、目をさらに大きく開いて驚き瞬きを繰り返す。
待つこと数秒、そして。
「お兄ちゃん遅くなりましたけど、
おはようございます」
雪をあざむくような白い頬を
「おはよう冬雅。朝ごはんは?」
「今日は、やめておきます。
では日課の告白をしますねぇ。
お兄ちゃん………わたし愛しています!
お兄ちゃんを、世界一で大好きですよ。えっへへ」
冬雅は
真っ赤な顔をしてはいるけど、顔を背けることなく真っ直ぐと逸らさずに向けている。
そんな彼女に俺は…無言で頷くだけしか出来ないのであった。
主導権は冬雅にあって手の上にある。
そこには恋愛的な意味が含まれていた。
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