第16話

 ぼくたちは計器盤のおおう操縦室をあとにする。隣室にある質量緩和装置へとむかう。


 カプセルはぜんぶで9つ。最大定員は9人。設計者は公人で、予備のぶんまでは考慮されてない。壊れたらどうするか。しようがないから潰れて死ねということだ。


 カプセルの開発製造にかかる技術は宇宙船舶関連のなかでも抜きんでて高度だ。ぼくたち2等操縦士が世話になる小型器だって、ちょっとした惑星ひとつ購入できるほど値がはる。費用がかさむ。中央ステーション内に公人専用の巨大カプセルを壱万は造る予定だからムダなんてできないのだろう。


 それに公人はぼくたち凡人をじぶんたちとおなじ人間とは見なしてない。強いモノが弱いモノを喰う。これを摂理という。強化服を脱ぎながら自嘲気味にマリーが話す。

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