第14話

 箱船マクシムはすでに光速度の6割に達している。


 疲弊したマリーの体がさらなる質量の増大に耐えられるかどうか、一抹の不安がのこるところだが判断に迷っているゆうよはない。ためらうあいまにも追手はせまってくるのだ。


 公人の傭兵たちが搭乗する戦闘型の船舶は、輸送型である箱船マクシムの航行機能を完全に破壊するに足る強力な電磁波をはなてる。


 喰らったらイチコロだ。ひとたまりもない。


 箱船マクシムは年代物だ。考古学的価値ある建造物だ。政府機関で開発する最新鋭の宇宙船舶にくらべたら、核融合による内燃機関だって藁葺き小屋のごとくみすぼらしい。最大出力は2年と持続しない。つまり光速での航行は1年ちょっとが限度なのだ。

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