第40話
「次こそ、星が書かれていない紙を引いてみせますよ……」
私は意気込んでいた。
「じゃあ、シャッフルするから、目を瞑って」
「はい」
私は目を閉じた。
その間、どんなネタなのか考えていたけれど、全然わからなかった。
「いいわよ、目を開けて」
私は目を開けた。
テーブルには、十枚の紙が横一列に並んでいる。
いったい、どうやって殿下は、私に星が書かれた紙を選ばせているの?
何か、気付かないうちに誘導されているの?
でも、殿下はそれらしいことは、何もしていない。
まあ、たぶんだけれど……。
それとも、私が気付いていないだけ?
わからないけれど、私は一つ、ある方法を思い浮かべた。
それは、目を瞑って紙を選ぶことだ。
まあ、右半分か左半分かくらいは選ぶことになってしまうけれど、あとは完全にランダムだ。
私の意思は介在しない。
つまり、知らないうちに殿下に誘導されているとしても、これなら誘導も無意味だ。
私は目を閉じた。
そして、一枚の紙を選んだ。
それから私は、ゆっくりと目を開けた。
そして、その結果は……。
*
(※ナタリー視点)
「今日も、またお願いね」
人目がない路地裏で、私は男たちにお金を渡した。
「ああ、ありがたいな。また飯を食うだけで、金をもらえるなんて」
「そうだな、こんなに楽な仕事はないな」
男たちはお金を受け取り、上機嫌である。
今日は、お父様たちがお店に来る日だ。
お店が寂れている様子は見せられない。
あ、今の駄洒落だ。
はは……。
……だめだわ、私、かなり疲れているわね。
ここ最近、何とか経営を上向きにしようということばかり考えていて、ほとんど眠っていない。
でも、どれだけ考えても、改善策は思い浮かんでいないのが現状である。
私はまた、何かあった時のために、お店の裏で控えていた。
もう少ししたら、お父様たちが来る時間である。
今日も二号店から応援の人員を呼んでいるので、客が多くても大丈夫だ。
……おかしいわね、まだ来ないの?
来ると言っていた時間は、もうとっくに過ぎている。
それなのに、お父様たちはまだ来ていない。
いったい、どうしてなの?
なんとなく、嫌な予感がした……。
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