妹しか勝たん

@katankotonkatan

第1話

カチッ、カチカチッ、

「お、おにいちゃん...あのね、あたしね...ずっと好きだったの」


「うひょー!!!あやたんまじ可愛い〜(ニヤニヤ)神ゲーすぎて死ぬー!!!」


俺の名前は、田中蒼。自称仮想妹のプロである。


「ドンッ」

「はいはーい。静かにしまーす。」


なぜ「仮想」なのか、そうさっき壁を叩いてきたのは「妹」である。ここまで言えばわかってもらえると思うが、俺には現実に妹と呼べるようなもんじゃねークソみたいなマセガキビッチ妹がいる。先に言っておくがあれは妹じゃねー!妹っていうのはなー、黒髪ツインテールしかありえんのだ!


「蒼ー、りのー、そろそろ降りてきなさーい。ご飯よー」

「すぐ行くー」.


カチカチッ、

ガチャ


「お、おう」

「キモッ......」


タスタスタス


なんだよ、このマセガキが!こんなんでも一応兄だぞ!もっと「妹」らしくしろや!

まぁ現実の妹なんてやっぱクソだな...


客観的に見て俺の妹はキャピキャピ系だ。教室でいつも中心で騒いでいるような奴といえばわかりやすいな。神は茶髪、耳にはピアス、その上化粧までしやがって。お前はまだ中2だろっての。


「蒼、ちゃんと勉強してるの。もうすぐ試験でしょ?」

「あー、やってるやってる。まぁまぁ成績いいのおふくろも知ってるだろ?」

「あんた、それ美羽ちゃんにいつも教えてもらってるからでしょ?ちょっとは自分で勉強しなさい」

「わかってるって」

「そうだぞ蒼。いつまでも幼馴染がいるわけじゃないからな。」

「それに比べてりのはえらいわよねー」

「ママ、そんなことないってー」

「やだ、あんたテストはいつも上位じゃない。バスケだって、この間の試合すごかったって山田さんから聞いたわよー」

「まだまだだよー。上には上がいるし、もっと頑張らないと!」

「偉いわねー。蒼もりのを見習いなさいよ」

「へいへい、ごちそうさま」

「チッ、ホントキモッ」


あー、イライラするなー。こういう時はニコちゃんに癒してもらわないと。

カチカチ、


ピロンッ

「Blue Sky氏、一緒に[妹エクスタシー 〜更なる目覚め〜]の対戦を一戦交えましょうぞ!」


「フン、この妹神に勝てるとでも思っているのか」


「拙者の妹、みゆきちゃんへの愛で打ち砕いて見せましょう。フフッ」


「じゃあ、ルームはいつもの場所な」


「了解でござる」


コイツはClino。俺の妹仲間でライバルだ。

半年ほど前、SNSで知り合ってそこからよく情報交換とか、一緒にプレイするようになった。

まぁ、なかなか妹愛は強いが、この俺の妹愛の方が強い。

お、きたな!


カチカチ

Clino「お兄さん任せてください!」

蒼 「お兄ちゃん頑張るから見ててね」


レディーファイ!


Clino「ここで負けるわけには行かないク

   ストリームブラスト!!」

蒼  「私も行くよ!お兄ちゃんに褒めてもら

   うんだから!ラブリースター!!」

   「やったー!お兄ちゃん!ちゃんと見て

たー?」


ピロンッ

「負けたでござる...次は絶対負けません!」

「俺のまいたんへの愛が、そんな偽物の愛に負けるわけがなかろう!フハハハッ!」


ドンッ、

「あーもう!なんなんコイツ!あたしのみゆきちゃんへの愛だってほんもんだっつーの!」


え、まって。今の声は、りの?

Clinoって使ってたキャラってみゆきだったけど、まさかな。偶然だよな。

いや、でも気になる。もう一回対戦して確かめるか...


カチカチ、

「もう一度勝負してやらんこともないぞ?フッ」

ピロン

「調子に乗るのもここまででござるよ!みゆきちゃんへの愛は本物だと言わしてみせまする」


ふー、頼むから気のせいであってくれよー。


         *


「お兄ちゃん!まいのこと見ててくれたー??」


ガタンッ!

「はぁー?!ウザすぎ!!!死ねー!!!」


ま、マジか。これも偶然だ、だよな。

違うよな?違ってあってくれ!頼む!


カチャ、スタスタ

コンコン


「なー、ちょっといいか」


ガチャ


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