幼馴染
バブみ道日丿宮組
お題:誰かとデマ 制限時間:15分
幼馴染
学校につくと、『お前婚約したんだって?』と、とんでもないデマが流れてた。
どうしてそんなことになってるのかといえば、
「嬉しいでしょう?」
クラスメイトのお嬢様が偉そうにしてた。
犯人はこいつに違いないだろう。
「結婚は卒業してからにしましょう」
そういうことじゃない。じゃないんだ……。
「この国では同性婚が認められてないから、できないよ」
当たり前の思考だった。
「では、できるところにいきましょう」
なんだったら、国籍も変えましょう。
洒落にならない言葉だった。
彼女のことは嫌いではない。子供の頃から一緒にいるし、家族ぐるみで付き合いもあった。
ただ……彼女はお嬢様なので、本質的な繋がりは持てないと思ってた。
だからこそ、高校入学とともに避けるようになった。
僕と付き合うんじゃなくて、もっと上流階級の人と仲良くなるべきなんだって思ったから。
「つまらないことを考えているんじゃなくて?」
「……釣り合わないよ」
見透かされてた。
長い付き合いだ。無表情であっても、何かしら察するものがあるのだろう。
「もう出したものは閉じ込めることはできないわ」
教室内を見渡すと、その言葉の意味が深まった。
みんな注目してた。
「……ちょっと場所を変えよう」
そうしてやってきたのは、食堂だった。
この時間は利用者はほとんどいない。
端っこにいってしまえば、声なんてほとんど聞こえないだろう。
「それでさ、婚約ってどういう意味なの?」
「そのままの意味ですわ」
間違ってはいないらしい。
「結婚は早すぎじゃない? 僕ら付き合ってもいないんだから」
なんとかしたいなら、なんとかできないかと考えながら、言葉を作る。
「付き合いなら、もう子供の頃から一緒ですわよ」
「そういう意味じゃないんだけど……」
「裸の付き合いだってしましたし、なんだったらそういうことを今日してもいいわよ」
「言葉の意味わかってる?」
はいと彼女は笑った。
心が決まってないのは、僕だけなのか。
「両親はなんて?」
「あの娘なら、任せられるっていってましたわ」
逃げ道がなくなった。
こっちの親が反対するような人には見えない。むしろ将来が安定してていいとかいいそうなくらい。
「これを大事にしてきたんですの」
そういって彼女は、小さな紙を取り出した。
「それは……」
子供の頃に彼女と作った相合い傘が書かれた紙。
あの頃から僕たちは仲が良かった。同性なんて関係なく、キスをし合ったり、身体を触り合ったものだった。
それが大人の意味になる。
「この約束を果たしましょう」
彼女の笑顔には勝てなかった。
そうして、その夜僕たちは秘密の時間を過ごした。
幼馴染 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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