第31話 二つのface
第31話 二つのface
5月25日午前10時00分天気は曇り。リュールとギメルによるデュエルが行われようとしていた。
(風向、南西向き。そよ風程度。一射目は威嚇用に左足の前に射る!二射目で落とす!)
『始め!』
「サンダーショット!」
開始の合図と同時にギメルは矢を放った。放った矢は狙い違わずしっかりと元々リュールが居た場所に当たった。
「な!?読んでいた!?二射目が間に合わない!」
「やっぱり雷を纏った矢は速いな。間に合ったのがラッキーだったよ。」
リュールはギメルがどこに矢を射るか気付いていた。開始と同時に右に跳んでいた。
(読んでて正解だった・・上手い人程足元を射撃をする!距離を詰めるなら今!)
「疾風斬!」
(速い!詰めに来たか!)
『ガキンッ!』
「中々やるね・・初撃を避けるとは・・」
「精度は凄かった。でも近接はきついでしょ。このまま決めさせてもらうよ!」
「その判断は間違ってるよ?この俺が遠距離だけとは思うなよ!」
「なっ!?っ・・・」
「俺はダガー使いでもあるんだぜ?」
ギメルはまるで別人のようになり、前髪を左手で掻き上げた。背筋に何かが走り、リュールは後ろに大きく跳んで距離をとった。
「俺のスピードに着いて来れるか?リュール!」
右手で握っていた短剣を逆手に持ち、半身に構えた。そして瞬く間に1メートル程まで詰められていた。
「なっ!」
(ここまで早いなんて!回避は間に合わない!迎え打つ!)
『ギャリィン!』
互いに引く事もなく2人は鍔迫り合いに持ち込んでいた。
「この速度についてこれたか・・やっぱりあんたは俺を楽しませてくれるやつだ!もっと戦おう!」
「君は一体何なんだ!?まるで2人と戦っているみたいな・・・」
「よくわかったな。俺は2人で1人だからな!」
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僕達は元々兄弟だった・・5年前までは。弟だったカルザフは、短剣を使う時の僕のようだった。口調も荒く、言うことを聞かない弟だった。でも、僕の言葉だけは聞いてくれた。どこに行くにも一緒だった。
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2人は広場の中央で荒々しくも、美しい戦いをしていた。その陰で潜む悪意の足音には、誰も気づかなかった。
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