第2話
「―—それでだな、噂じゃあ王はレベル100とかなんとかって―—」
ランクもといレベルを上げる方法。
一番はモンスターを倒すこと。
モンスターを倒すといっても、適当に倒すのではなく、まずギルドへ行きそこでクエストを受ける。
クエスト通りにモンスターを倒すと、レベルが上がる。
クエストによっては、レベルが5上がるクエストもあったりする。
そして、あまり知られていないが、ランクなんか簡単に上がる方法があるらしい。
どこかでそんな話を聞いたことがある。
「簡単にランクを上げる方法……?そんなうまい話があるもんか」
「ほんとだって。ほんとにそんな話があるんだって」
「……わかった。一応聞くけどさ」
ある酒場にて。
簡単にランクを上げる方法を知っているという、少し前に知り合ったレインがそういう。
「それで、どうやって上げるんだ?」
「はいはい、それは―—」
レインから教えてもらった通りにやってみると、たしかにランクが上がっていた。
「すげーなこれ!どこでこんなやり方覚えたんだよ?」
「あー、それは秘密だ」
「なんだよ、ケチだなー」
「一応言っておくけど、そのやり方は一回きりなんだ。そう何度も使えないよ、魔法じゃないんだから」
「そ、そうか……つーか、この世界は魔法もあるのにどうして……」
「……やめてくれ。そう深く考えちゃだめだよ」
いわゆる大人の事情ってやつか。仕方ない。
「それで、君はこの後何するんだい?」
「そうだなー、ランク3になったんだから何でもできるっていうし、まずは女遊びでもしようかな」
「初っ端からそういうこと考えるんだ……俺は違うけど」
実際のところ、異世界っぽいことをしたいとは思っている。
でも異世界っぽいことって何だろうか。
「この後することがないなら、良ければうちに来ないかい?」
「……?どうして?」
「ちょっと買い取ってほしいものがあるんだよ。ものっていうか、【人】だけど」
「いやいや、俺、そこまでお金ないんだが……」
「ああ、そこらへんは大丈夫だよ。ほら、早く行こう」
レインは、俺の手を取り早足で酒場を出た。
俺はレインの家なんか知らないのだが、とりあえずレインについていくことにした。
歩くこと20分ほど。
「ここが俺の家だよ」
レインが指をさす方向を見ると、少し大きい家がぽつんと立っていた。
「で、買い取ってほしいものとは?」
「ちょっと待ってて」
そういって、レインは家の中へと入って行ってしまった。
一体何を買い取ってほしいのだろうか。
なんか人とかって言っていたけど……。
「お待たせ。こいつを買い取ってほしいのさ」
「こいつって……えっ?」
レインの背後から現れたのは、銀髪で小柄な少女だった。
「え、ええと……俺が買い取るのは、この子?」
「うん。そうさ」
「その子ってお前のじゃ……」
「違う。色々訳あって、少し前からこのこと一緒に生活をしていたんだ。一人暮らしだった俺には、この子がいてくれて色々と楽しかったんだ。だけど、俺には既に付き合っている人がいるんだ。だから……買い取ってくれ」
付き合っている人がいる以上、この子とは同居できないということらしい。
いやなぜ俺に買い取らせるのかは疑問だが……まあいい。
「それで、金額は?」
どうして少女に金額がついているのかも謎だが……。
「ああ……タダだ」
「はっ?今タダって……」
「いったよ。その代わり、この子を幸せにしてくれるかい?」
「…………もちろん」
無料という代わりに、この子を幸せにしなきゃいけないらしい。
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