旅

第1話始まり

北関東の中央部に位置する餃子で有名な都市宇都宮。そこから私は仙台の街に出立しようとしていた。朝6時宇都宮駅の西口から改札を通り東北本線黒磯行の電車に乗る。まだ朝の早い時間であるためか人の姿はまばらであった。わずか4両ばかりの短い編成の列車ではあったが入線する際の軋む鐵輪の音はその身に見合わないほどたくましかった。私は日々の人々に気を遣う生活に精神を疲労し取り敢えず旅をしてみて心を入れ替えようという在り来りで浅はかな考えで旅へ出た。仙台へ向かうというのも私が行ったことがない街であるというだけであった。電車がゆっくりゆっくりとギシギシ音を立てながらスピードをあげてゆく。そこから私の旅は始まった。