時代に残された人

@dragonangel

第1話

時は西暦2000年、個人で携帯電話を持つことが少しづつ普及し始めた。携帯電話と言っても、音声通話のみに特化した、とてもではないが小型と言えるものではなかった。

これは遅咲きながら、コンピュータとインターネットの時代を感じ、異業種へ転職した私の回想録である。

インターネットの基礎を学ぶべくして、大手ケーブルテレビのサポートセンターへ就職した。大きなビルのワンフロアを100人ほどの人が綺麗に並ぶ。目の前には、お客からのコール時に受けるスイッチ、会話を録音する機器、テスト用のパソコンが設置されている。

入社1週間はまず、先輩の対応を見本として、聞く側の立場で黙々と勉強する。

手慣れているせいか、先輩たちのお客からの対応はものの見事に15分程度で解決する。

口調は至って丁寧で差し障りがない。

後々クレームにならないように逃げ道もしっかりと用意されている。

どうしても解決しない場合には、エスカレーションといい、上長へ振るシステムが有る。

機器的問題なのか、自社システム上の問題であるか、調査後にこちらから折返し電話をかけ直すのだ。

いわば研修を終えた次の日から、実践が開始される。先輩は聞く側に代わり、チェックされるのだ。

何とか無難な依頼であることを祈りつつ、チェックは開始された。

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