第237話 6章のエピローグ
<<10月30日(開票日) 清洋建設 特別室>>
今日は、衆議院選挙の開票日である。
清洋建設の特別室でスタンバる。今は19:30くらい。20:00から速報番組が流されるのだ。
俺はマスコミは大嫌いだが、こういった単純な情報はテレビを頼っている。便利だし。
なお、俺たちの選挙については、地元の地方議員が動いてくれて、選挙管理委員を異世界に派遣してくれている。国も正式に認めたとか。この辺りは柔軟だった。すごい。
「さて、どうなりますかなぁ」と、一緒にテレビを見ているベクトルさんが言った。
「泣いても覚めても後30分で終了。それにしても、選挙管理委員会が異世界まで来たのはびっくりしました」
「そうですなぁ。異世界を法的に認める前にそういう決断をするとは。日本政府もやりますなぁ。そういえば、どうですかな? うちの職員達は、元気にしておりますでしょうか」
現在、築城部隊も五稜郭建設予定地に入り、すでに工事を開始している。
「元気いっぱいですね。魔術訓練が終わって、もう宿場の建設に入っています。トイレを異世界の『工務店』に発注しましたから、住環境も相当良くなるでしょう」
「お風呂は温泉に浸かっているそうですね」
「そうなんですよ。みんな大自然の中で生き生きしてて、楽しそうに仕事しています」
気付いたら、温泉が湧き出している箇所に浴槽が掘られ、男女を分ける壁もいつの間にか出来ており、皆自由に利用していた。
結構たくましい。
「何か問題を起こしていなければよいのですが、大半が夫婦や恋人同士とはいえ、何もないところですからね」
「確かに、娯楽が無いのが少し気にはなりますが。なんか、サバイバルゲームみたいなことをして遊んでますね」
今、五稜郭建設予定地内部は、魔境のように改造され、戦闘訓練の他にノルンを捕まえるゲームなどが開催され、面白おかしく暮らしているようだ。補給品は要求通り、届けているし・・・なお、補給品目の中にコンドームがあって、消費が結構多いとか。まあ、この辺、俺は何も言うまい。
『それでは、間もなく8時になります。開票まであと少しとなりました』と、テレビが告げる。いよいよ始まるか。
『・・・8時になりました。投票終了です。アマビエ新党躍進。アマビエ新党の躍進が決定的となっております。そして、党首の雨田美緒氏、当選確実です。明治維新の会も躍進です。関西地方を中心に・・・』
「おお、やっぱり。でも、一番最初に徳済さんのところが出ないってことは、苦戦してるのかな?」
「そうですな。接戦なんでしょう」
『アマビエ新党。西日本と京都、それから関東地方で着実に議席を獲得しております。続きまして、現役の首相に挑んだ徳済多恵候補の出馬で注目されるK川15区は・・・・接戦、接戦です。これまで無風選挙区と言われていたK川15区。現役の総理大臣が苦戦しております』
「接戦か。しかし、このテレビ局の予想議席数って、今回かなり幅があるんだなぁ」
「票読み屋も自信が無いのでしょう。お、建設族達は無事に当選しておりますな」
「それはおめでとうございます。さて、K川15区は結果が出るのは先になりそうだ。下手すると深夜だ」
「今日はイセ様との会食ですよ?」と、横にいたツツが言った。
「そうなんだよなぁ。あいつも、今日帰って来なくてもいいだろうに」
イセは4カ国会談なるものに出かけており、今日帰ってくるらしいのだ。
会食に行ったら、今日は帰って来られない可能性がある。もう少しここにいるか。
・・・・
『明治維新とアマビエが40議席以上の見通しとなっております。明治維新は、選挙前は11議席、アマビエは6議席でした。一方、立憲共産党は微減。与党の2政党が大きく先の2政党に票を奪われる結果となっており・・・』
「まだK川15区が出ない・・・もう時間だよなぁ」と、俺がぼやく。
「そうですね。流石にそろそろ行きませんと」と、ツツが返す。
「じゃあ、ベクトルさん。我々はこれで」
「お忙しいですなぁ。では、また明日」
・・・・
重要な選挙結果が確認出来ぬまま、ゲートを駆使してラメヒー王国のマ国大使館へ。
「おう、来たか。久しぶりだな」
イセ登場。確かに久しぶりだ。少し太ったか?
「久しぶり。遅くなってごめん。さっそく御飯を・・・」
「ふん!」 ゴスウ!
「わしが太ったかどうかは、自分で確認するがよい。隅々までなぁ。わしは、太っても気にならん体で御飯をおいしくいただくとする。さてと、ザギィ、運んでまいれ」というイセの声が聞こえた気がした。
「はい。お持ちします」
・・・・
今回は意外と早く目が覚めた。おっぱいを揉むと、案の定、イセの体だった。
待っていてくれたのか、まだ食事の前だった。
そのまま食事会に突入。
感覚が違うから食べにくいんだが仕方が無い。
ばくばく食べていいものかどうか迷う。
個人的には、お尻が少し大きくなっていると思うんだが・・・
ザギさんが、嬉しそうに俺の世話を焼いてくれる。まあ、気にせず食べよう。代謝は良さそうなんだよな、イセって。汗も沢山かくし。
◇◇◇
<<徳済多恵選挙事務所>>
「あら、向こうに当確が出てしまったわね」と、徳済多恵が口を開く。
テレビではK川15区の選挙結果について、小石川氏の当確を伝えていた。
「まだです。開票率は100%ではありません。まだわかりません」
「いいのよ。無風選挙区でここまで競ったんだから。貴方達は優秀だったわ」
「徳済さん・・・」
テレビ画像にはこう表示されていた。
事民党(与党)243 議席(減少)
明公党(与党)25 議席(減少)
立憲共産 94 議席(減少)
明治維新 41 議席(大幅増)
アマビエ 42 議席(大幅増)
そのほか 20 議席
『注目されていたK川15区は小石川総理が当選確実となっています。徳済多恵候補者は比例には出ておりませんので、これで、衆議院議員には落選ということになります・・・』
テレビが敗北を告げる。だが、不思議と徳済多恵には悲壮感が無かった。
それは、目的が達成されたと考えているから。それに、元々は政治家になんてなりたく無かったのだ。
「貴方達、異世界には残るの?」と、徳済多恵が辞め公務員達に向けて言った。彼らもそこまでの悲壮感は無い。
「はい。水政氏がラメヒー王国の王宮外務補佐官に内定しました。私達も連れて行ってください」と、辞め公務員が言った。
「分かったわ。私は今日中に荷物をたたんで、明日に住民票を元の住所に戻す。その後、皆はちゃんとラメヒー王国に連れて行くから」と、徳済多恵が言った。以外とすっきりした表情であった。
「分かりました。準備は今日中に済ませておきます」
「お願いね。不動産関連は病院に任せるから。あ、そういえば、あいつも湘南に家借りたって言っていたわね・・・せっかくサーフィンも始めたし、住所変更はどうしようかしら」と言って、徳済多恵が天井を見詰める。
敗者は去るのみ。サーフィンの事は未定だが、徳済多恵は大人しく引き下がることとなった。
◇◇◇
<<Web会議 ベクトル家と清洋建設特別室>>
『選挙結果はどうだ? 結果を教えてくれ』と、画面越しの男性が言った。通信はアメリカからである。
「与党は絶対安定多数の261議席以上は確保しました。ですが、単独では安定多数の244議席を僅かに下回っております。今後の政局では、第3政党がキーになってくるでしょう。異世界政策に関しても、アマビエの意見は無視出来なくなると思われます」と、日本人、とあるおっさんに『ベクトルさん』と呼ばれている男性が答える。
『ミズ・トクセイは落選したが?』
「想定内でしょう。今回、異世界陣営は、小石川総理の致命的なスキャンダルを掴んでいたと思われます。ですが、それをあえて公表しなかった」
『その理由は何だ?』
「彼女の目的は、政治家の椅子じゃない。異世界施策に余計な規制をさせないようにするためだからです。あり得ないほど精度の高いスキャンダル写真が世に出回った場合、庶民は魔術が使用されたのではと想像し、恐れます。そうなると魔術の使用や異世界渡航を規制しようという流れができるおそれがある。彼女らは、それを避けたのです」
『そうか。築城の様子どうだ?』
「今は宿場から先に建設しております。順調です」
『地下資源等の調査は進んでいるか?』
「まだですね。石油も天然ガスも使うような文明は発達していないようです。ですが、土地の殆どは未利用地。しかも国境線が曖昧で、今の国家の街から距離が離れていれば、簡単に築城許可は下りるようです。いや、許可というのも語弊がありますな。根回しが簡単なようです」
『そうか。『パラレル・ゲート』と『シリーズ・ゲート』の秘密はどうだ?』
「そちらは情報収集中です。少なくとも『パラレル・ゲート』は2つあります。ゲートの場所は任意に繋げる事が可能な印象を持ちました。おそらく、ゲートは日本意外にも繋ぐことも可能です。ただし、多比良氏の持つ『パラレル・ゲート』を使用できるのは、多比良氏だけのようです」
『やはり、ミスター・タビラがキーパーソンか。彼を、今後も味方に引き入れよ』
「はい。もちろんです。それには、正攻法が良いでしょう。彼が欲しがっているのは、金でも女でもない。信頼出来る技術者集団ですから」
『任せた。我々と彼との絆を大きくするため、私も動こう。珍しい恐竜の剥製、もしくは全身骨格標本を発注したい。ティラノサウルスやスーパーサウルスはすでに多数発注されている。捕獲されるのも時間の問題だろう。冒険者ギルドでは捕獲不可能な大物がよい。報酬は、破格を用意する』
「分りました。相談してみましょう」
◇◇◇
<<エンパイア 執政官執務城 会議室>>
「以上、4カ国会議の報告だ」と、体が小さく耳の長い女性が言った。
「ふむ。内容はほぼ予想通り。この対空兵器の開発を急ぐということが加わったくらいか。ラメヒー王国に与える魔道具の準備も進めている・・・ん? なんだ、この最後の議案は」と、壮年の男性が返す。
「ああ、それは現在、唯一公式な『パラレル・ゲート』は、ラメヒー王国のサイレンにあります。ですから、そこに政府高官を派遣することになっておりまして」と、細い女性が言った。
「それは分かるぞ。そのうち、エンパイアにもゲートを設置することになるだろうからな。そのためには彼らと国交を樹立せねばならん。私が言いたいのは、なんで、その派遣する高官がお前なのだ?」と、壮年の男性が言った。
「それはですね。美しい女性の
「そうか。イセ殿を好む男性がキーになっておる可能性か。それならば、もっとふくよかでナイスバディな女性を派遣しよう・・・いや、角が好きな可能性もあるな。ならば・・・」と言って、壮年の男性は少し考え、何かメモをし始める。
「そ、そんなぁ。私でいいじゃないですかぁ。魔術の腕も美貌も・・・」と、小さい女性が目をうるうるさせながら言った。
「ふむ。我が国の密偵が仕入れた極秘情報によると、お前のボディのような状態のことは、洗濯板と呼ぶらしい」と、壮年の男性が真面目な表情でいった。
「センタクイタ? この間はデブ鬼にロリババアと呼ばれるし、なんなんですか? 流行っているんですか? 翻訳魔術が発動しない日本語?」と言って、細い女性はきょとんとした表情をする。
「ロリババア! ぷーっクスクス・・・・」
「あ~~局長!? 何か知ってますね! 教えてください! 教えろこの野郎!」
2人が職場で取っ組み合いを始める。
「お前ら、余の存在を忘れておるだろう」と、テーブルの隅に座っていた痩せぎすの男性が愚痴る。
「あ、すんません、エンペラー」と、局長が全く誠意のこもっていない謝罪の言葉を口にした。
◇◇◇
<<三角重工資材置き場>>
「ふう~やっと運び終えた。重っも~~~」と、新人っぽい男性が愚痴る。
「愚痴るな。筋トレになる位に思っておけ」と、その上司らしき男性が返す。
「は~、しかし、俺ってこんな肉体労働するために会社に入ったんじゃ・・・それにしても、これ、何に使うんでしょうね」
彼らは、ひたすら2m程度の特殊丸鋼を人力で運んでいた。
「知らん。考えるな。そんなこと言うと外されるぞ?」
三角重工職員の若手男性職員2人が駄弁る。
そんな中、場に似つかわしくない異分子が現われる。
「あらん。何話しているの? 貴方達、首になるの?」と、その異分子が言った。小さな女性である。
「あ、いえ、何でもありません。ただ、コレって何に使うのかなって」
「そんなこと、私が知るわけないじゃない。丸くて長~い金属の棒なんて。あ、ひょっとしてアレかしら」
「ゴクリ・・」
「野球のバット!」
「へー」
「あ、バカにしたわね。でも人気なのよ? 野球」
「そうなんすね。でも、これはバットにしちゃ長過ぎでしょ」
「そうよね。まあ、どうでもいいじゃない。それより、また異世界の話を聞かせてよ。暇だし」
「わかりましたよ、カテジナさん。じゃあ、今日は・・・」
ゲート・キーパーの極秘来日、本来は禁忌とされている行為である。
だが、慣れとは恐ろしいもので、日本人達は、この可憐な少女に今日も付き合う。
◇◇◇
<<某新聞社>>
「一体、主筆はどうなって仕舞われたのだ。四六時中、タコを口に咥えられるようになられて。我が社の恥ではないか!」
「まあ、いいじゃないですか。煩くなくって、論調もあまり変わりませんし」
「しかし、主筆はリベラルのまとめ役としての顔も持たれている。アレでは恥ずかしくて何処にも出せないぞ」
「かといって、どうにも出来ないじゃないですか。いいんじゃないですか? SDGsとか言うでしょ?」
「くっ、しかしなぁ。アレは絶対に異世界勢力の仕業だ。先日、利権に食い込んだ、と言っていた矢先の出来事だったからな」
「でも、証拠も何も無いです。ですが確かに、タコ事件のせいで異世界を攻撃するような論調は、自主規制的にトーンが下がっているような気もします」
「まあいい。今の総理大臣はこちら寄りだ。彼の強力なリーダーシップに期待しよう」
メディア対異世界勢の戦いは続く。
◇◇◇
<<八重の独白>>
マ国が神聖グィネヴィア帝国に勝利した。
大勝利だったようだ。
移動砦の鹵獲数もユフイン戦線の倍以上。
前回はマ国の負けだったことを考えると、怖いくらいの成果だ。
多数の航空戦力による奇襲作戦は効果抜群だったようだ。
これで、ラメヒー王国への援軍も十分行われるだろう。
そして、城さんの体を使ったユフイン戦線よりも、多くの戦果を得た。
これで戦争の度に城さんを頼ることもないし、軍事的に目立たないことで、暗殺のリスクもぐっと減っただろう。
理想的な決着だ。
イセとの関係もほぼ完ぺき。しかも、ユーレイと名乗っている『あの呪われた一族』の実力者とも関係を持っている。
本当に侮れない人だ。あの人、仮に・・・仮に私と結婚していなかったとしたら、一体どういう人物になっていたのだろう・・・まあ、思考を戻そう。
それから、イセのおかげで、マ国の『パラレル・シリーズ・ゲート』も使用できるようになった。これで邦人のバックアップもできる。
もうすぐ、日本人600人の帰国が開始される。これは、今の私が止めても聞かないだろう。一度痛い目を見てもらわないといけない。だけど、その一度で死者が出てしまうとまた振り出しだ。
今のうちに、少しでもアングラを地均しして、警察ともパイプを作らないといけない。陰陽会と道場生の魔術訓練を進め、時が来たら魔術兵と化した仲間を一旦日本に入れないと。
ただ、今発生している課題は、そのどれもが解決の糸口があり、未来への道筋は閉ざされていない。
第2世界の世界情勢も、今の所破綻していない。とてもとても良い状態だ。
しかし、ずいぶんと違う未来になったものだ。
城さんものんびり暮らしているようだし。
そういえば、城さん、メディアにちょっかいを出したみたいね。
せっかくメディアが桜子を訴えてくれたから、『離間の計』で城さんとメディアの距離を離したのに。
チート野郎が報道機関にまで影響を及ぼしてしまうと、きっと良からぬことが起きると考えたのだ。
だけど、まあ、離間はしているみたいだから放置でいっか。桜子に前科が付くのも忍びなかったし。
後は築城か・・・あれはもう運命と言っても過言ではないかな。
異世界の五稜郭・・・あれは、ラスボス攻略に必要なもの。城さんは趣味で造り始めたはずだけど、あれはこのゲームクリアに、絶対に必要なピースなのだ。だから運命。
出来る限り早く、そして丈夫に造ってもらわないといけない。
しかも、今回はいつもより着手が異常に早い。さらに、あのコミュ症でニヒル主義が、他人であるスーパーゼネコンを頼るだなんて。
この心境の変化は、城さんの周りにいるオンナ達に感謝かな。
あの人、今はきっと生き生きしている。私と居る時より。
それは、しゃあないか。私は、あの人の全てを受け止められなかったんだと思う。だから、私にあの人を独占する資格はないし、むしろあの人が作ったオンナ達は、人格者すぎてすごいわ。うん。
このままいけば、五稜郭の完成も、このクソゲーの進行も問題ないだろう。
ふむ。順調順調。
あとは、イセがうまくやってくれるだけか。イセと城さんとの結婚・・・
あの最強で最凶の魔法使いは、聖母のようなイセの尻に敷かれるべきだ。あの大きな尻に。いや、それでも足りないかもしれない。今回の怪人事件の様に、とんでもないことを起こしかねない。
そうね、城さんに必要な重し・・・例えば、リン・ツポネス国のハトあたりの尻の重さを追加したらどうだろう。エンプレスは重すぎとしても、後二~三個ほどの尻を乗せておきたい。
まあ、この辺は妄想・・・この実現のために、
でも、楽しいな。今回はとってもうまくいっている。一生懸命に生きている、この世界の人達が愛おしい・・・絶対に、クリアする。そして、この世界の人達と、一緒に人生を歩みたい。もちろん3月以降も・・・
多比良八重は長考を止めて、休めていた対モンスター地雷用の魔石を、爆薬に加工する作業を再開させた。
◇◇◇
<<神聖グィネヴィア帝国 首脳部>>
「派手にやられたな。まさか新戦略を取ってくるとはな」
「魔道飛行機で移動砦の鹵獲を狙うとは。だが、1機完璧な形で入手できた。今解析を急がせているが、心臓部以外は概ね再現できるとのことだ」
「急がねばならない。あいつらに同じ苦痛を与えてやろう」
「勇者の話では、アレは船から離発着をさせるような使い方をするらしいな」
「空母機動艦隊か。海からの奇襲攻撃。マ国は大陸国だ。あそこは、あまり海洋警備に力を入れていない。一考の価値はあるか」
「それから、勇者の話ではもう一つありますな。情報戦の方で」
「ああ、各国で召喚された勇者たちの存在とその国籍を、異世界のメディアにリークするというものだな」
「そうすれば、今亜人共が独占している異世界利権の一角が崩れるかもしれぬと」
「異世界の国家が自分たちの国民がこちらにいると知れば、当然連絡を取りたくなるというもの。うまくいけば、独自に異世界とのパイプができる可能性がある」
「ふむ。大してコストがかからない作戦だ。リスクも少ない。実行してみよう。早速、潜入スパイに指示しよう」
#次章の予告
衆議院選挙の結果、やっと小石川内閣が誕生する・・・と見せかけて、組閣にも時間を要するようだ。
閣僚に異世界スクールを送り込むべく、アマビエ新党や日本人会も努力するが、果たして。
そんな政治の世界を忘れたかのように、とあるおっさんは築城に恐竜ハントに魔石ハントにと邁進する。
だが、日本国がうだうだしているうちに、ついにA国が普通に動き出す。
果たして、日本国の異世界施策の運命は・・・
なかなか読めなくなってくる世界情勢の中、異世界の日本人会は、地道に日本人600人達の帰還の道筋を付ける。
だが、飛んで火に入る夏の虫と言わんばかりに、帰還する日本人達を待ち構えている有象無象が存在する。
果たして、日本人600人の運命や如何に。
さらには、日本やA国が異世界と接触するのを阻止する某国勢力の動きもあり・・・異世界を舐めきった国家が粗相をしたり、兵器メーカーが暗躍したりと、様々な国際情勢が蠢き、絡み合い、なかなかカオスな様相になってきます。
次章、『世界の摩擦』お楽しみに~
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