クリスマスに大きな宅配便!!

夕日ゆうや

私が――!

 今日は12月25日。クリスマス。

 外は一面の銀世界。

 ホワイトクリスマスだ。

 こんな日にはまったりと家で過ごすのも悪くないだろう。

 とはいえ、本当は美夏みかと一緒に過ごしたかった。

 高校になり初恋をした彼女。

 連絡先どころか、自宅の場所も知らない。

 リビングでゲームをしていると、呼び鈴が鳴る。

 誰だろう?

 こんな朝に。

 そう思い玄関を開ける。

「宅配便です。こちらに判子か、サインを」

 宅配らしい。

 彼は人一人が入りそうな大箱を台車に乗せてやってくる。

「はい」

 サインを書いて、荷物を受け取る。

 重い!

 なんだ?

 僕は不思議に思い、玄関先で荷ほどきをする。

 と、

「おはよう! 正樹まさき!」

「美夏ちゃん!?」

 どうして? と問う前に裸にリボンを巻いただけの格好に驚いてしまう。

「今日はクリスマスだよ!?」

「知っているよ! でもなんで裸なのさ!」

「裸じゃないよ! リボン巻いているじゃん!」

 美夏はちょっと変わったところがあると、聴いていたが予想以上だ。

「ねぇ! わたしがクリスマスプレゼントだよ? 受け取って」

 よく見ると耳まで真っ赤にしている。

「……しょうがないなー。でも服を着てね。風邪引くよ」

「……うん。ありがと!」

 目を丸くしたあと、嬉しそうに華やぐ美夏。

 段ボールの底から衣服を取り出し、着替える。

 もちろん、僕は後ろを向いていた。

「着替え終わったよ」

 正面を向くと、

「なんでサンタコス!?」

「えへへ。可愛いでしょ?」

 可愛いけども!

 サンタコス。しかも今時のミニスカサンタだ。

「これで悩殺されたかな? かな?」

「まあ、そうだけど!」

 照れながら言うと、美夏は真っ赤になる。

 いや、そんなに照れるならやらなきゃいいじゃん。

「もう、何を考えているのさ。美夏ちゃん」

「えへへ。正樹と一緒にクリスマスを過ごしたくて」

 その言葉にこちらも恥ずかしくなる。

「そっか。分かった。じゃあ、一緒にクリスマスを過ごそうか」

「うん!」

 そこから人生ゲームをしたり、チキンやケーキを食べたり、と二人の時間を過ごした。

「そうだ。僕からプレゼントがあるんだ。受け取って」

 そう言って部屋から持ってきた箱を差し出す。

「受け取っていいの?」

「うん。そのために買ったんだ」

 嬉しそうに目を細める美夏。

「うん。ありがと!」

 さっと立ち上がり、プレゼントを受け取る美夏。そしてそのまま頬に顔を近づけ――チュッ。唇が頬に触れる。

「えへへへ」

「~~~~っ!?」

 僕は真っ赤になりながら、離れる。

「ずるい!」

 言葉になったのはそのくらいで、あとは思い浮かばなかった。

 明日から、僕は独りぼっちではないみたい。

 心臓がうるさいくらいに早鐘を打つ。

 今年はいい年になりそうだ。

 もう年末だけども。


                          ~終わり~

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クリスマスに大きな宅配便!! 夕日ゆうや @PT03wing

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