03 執筆

 私は社会人で、家族もいます。

 ここで述べたいのはそれを取り立てて大変だの何だの言いたいわけでなく、そういう状況である、という前提を申し上げています。

 で、その前提のもとに、どれだけ時間があるかと申し上げますと、朝早くに起きて家族の朝食を作り、起こして食べさせて、園なり学校なりに連れて行き、自分は出勤、そして帰りは買い物をして夕食を作って、入浴させて、就寝させて……と、一日ほぼ空き時間がありません。


 そういう状況で、いつ書くのか。


 ここで、さらに前提条件の追加として、私は子どもの園の父母の会の役員とか、学校のPTAの役員とか、学童(放課後児童クラブ)の父母の会の役員とか、とにかく役員を務めていたことを申し上げます。

 何故、こういうことを申し上げたかというと、その役員をするために、早朝あるいは深夜に時間を作って、その役員の仕事をしていたのです。


 そしてちょうどその役員の任期が終わり、お役御免となりました。

 すると、その役員のために使っていた時間が、目の前に転がっていたのです。

 この時間、本来の睡眠に使うべきだったかもしれません。

 あるいは、読書とか音楽とか、趣味に入れ込むという選択肢もありました。

 当時、新型コロナウイルスがこの国を席巻し始めていました。

 死ぬかもしれない、あるいは死に別れるかもしれない、という危惧を感じていました。


 何か、のこしたい。


 何を大袈裟な、と思われる方もいるでしょう。

 でも当時の私は、そういうかれた想いを抱き、「転がっていた」時間を執筆にてました。

 前の方で楽しみたいとか言っといて、えらいことを言ってますが、人間の心なんてひとつのことに統一されているわけではないし、矛盾した思惟も存在します。

 つまり、死の恐怖に怯えて書いているのも私だし、一方で、こういうことを書いたら面白いんじゃないかと楽しんで書いているのも私、ということです。


 ……何が言いたいかと言うと、時間は作ろうと思えば作れる、ということ。そしてその時間を執筆に充てるかどうかは、自分次第――想いはいろいろありますが、執筆したいか――ということです。少なくとも、私にとっては。

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