明日と言う液体を

生焼け海鵜

第1話

 いや、本当に思うんだ。

 ゲームとかのキャラクターで瞳孔が白い人っているじゃないですか。

 あれって、網膜で光が全て反射しているからそう見えるのであれば、その瞳孔が白い人って盲目なんじゃね? って話です。

 

 でも確かに、デザイン性が高まる瞳と言う部位なんだが、そこに見てわかるキャラクター性を入れる事は大事だと思うんだ。

 度が過ぎると気持ち悪くなるけどね。


 そんな思考を巡らせるのは良いが、今この状況をどうにかしないといけない。

 場所として、白い箱。そう呼ぶべき空間。

 辺りは白い箱に覆われ、視界に情報と言う情報がない。


 時間は何時だろう? 昼だとか夜だとか、そんなざっくりした情報すら見つからない。

 そんな場所で、何時間か放置されている。

 

 さて、何をしよう。

 壁を一通り触ってみるか?

 もしくは、大声を出して助けを呼んでみるか?

 はたまた、このまま座っていても良いかもしれない。


 とりあえず、壁でも触ってみるか。

 

 触った壁の感想だが、乾燥しています。そして、この部屋の内装はナイソウです。

 なんちゃって。

 そんな、冷たい目で見ないでおくれ。僕だって大変な状況なんだから、ジョークの一つや二つ位、言わせてくれ。

 まぁ正直なところ本当に乾燥している石膏のような材質。

 

 石膏なら、殴ったら割れるんじゃね?

 あ、でも厚みが分からない以上、不用意に殴ってケガしたら大変だな。やめておこう。

 ん? でも厚さって叩いた時の音で分かったような。


 試しに、ノックしてみる。

 その壁から発せられるのは、内部まで充填された高い音ではなく、低く響くような音。


「コツコツコツ」

 ノックが返ってきた。


「あの、誰か居ますか?」

「はい。こちら白い箱、応答ありがとうございます。何か御用でしょうか?」

「用って何も、ここから出してください!」

「なるほど、そちらの件でしたか。只今その調査をしている真っ只中でございます。しばらくお待ちください」

「待つって、ふざけるのは止めてください!」

「すみません、そんな事を言われましても、私もここから出られないのです。ですので、実はこちらも助けてほしいのです」

「なるほど、わかりました」


 次の瞬間、砕ける音と共に、壁から拳が生えてきた。

 え? まじ?


 生えてきた拳はその形態を解き、穴に手をかけては、それを広げていった。


 「あはは、お強いのですね」


 壁から出てきたのは、行動とは逆の少女だった。


 ん? 少女?

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