第二章

第81話 違和感しかない寝起き

 文化祭が終わって数日後。


「んー。まだ6時まで時間あるなぁ。もうちょっと寝ようかなぁって、ん?」

 朝、アラームをかけていた時間よりも30分ほど早く起きてしまい二度寝をするかどうかに頭を悩ませていると、見覚えのない天井を見つける。


 ん?


 そういえば今自分が寝ているベットは今まで寝ていたものよりも柔らかい気がする。


 ん??


 お腹の上に可愛い犬がちょこんと座っている。

 家では犬なんて飼っていなかったはずだが。


 んん?


 あと自分の後ろから人のものだと思われるぬくもりとスーッ、スーッという息遣いが感じられる。


 んん???


 そこまで考えて、今の自分の境遇を思い出す。


「全く…これはいつまでも慣れられそうにないな。」


 苦笑いを浮かべると、目が冴えてしまった俺はお腹の上の犬――ムギちゃんをゆっくりと地面に下ろすと、洗面所を目指してそっと寝室から抜け出した。

                  ◇◇◇

 早く起きてしまった俺は、やることがないので朝ごはんを一人で作ることにした。


 ここ一週間で生活がガラッと大きく変わった。

 最初は戸惑ったけど、次第に気づいてきたことがある。

 たくさんあるが、その中の一つが親のありがたみだ。


 今まで親がいるのは当たり前で、親になにかしてもらうのも当たり前だった俺は、朝ごはん一つも自分で調達しないと出てこないことになかなかなれることができなかった。


 早くこういうことにも慣れていかないと。

 そしてゆくゆくは――


 そこまで考えて、俺は頭を振る。


 余計なことを考えるのはやめよう。

 今は慣れない朝ごはんづくりに集中するべきだ。


 とりあえずオムレツでも作ろうかなと思っている。

 と言ってもレシピは知らないのだが。


 だから卵を冷蔵庫から取り出すと、スマホで「美味しいオムレツ レシピ」と検索バーに打ち込んで検索をかける。


 しばらく見て、一番口コミの評価が高かった作り方で作ることに決めて他に必要な食材を出そうと動き始める。


 そんなときにリビングのドアが開く。

 そして、

「んん…けんたくんおはよ…」

 目をゴシゴシと擦りながら頬を少し朱に染めてすずがリビングに入ってくる。


 そんなの姿を見て俺は心のなかで絶叫する。

 ――やっぱ無理!朝っぱらからちょっと寝ぼけててかわいいすず見せられるとか俺の身が持たない!


 俺はぶっきらぼうに「ん、おはよ」と返すのが精一杯だった。

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 婚約者?ん?


 ってことでお久しぶりです!

 今日から連載を再開します

 読者の皆様が読んでいて飽きないようなものを作っていきますので引き続き読んでくださると嬉しいです!



 以下、休載中に書き始めた長編の宣伝です!

「古代転生記〜ただの高校生だけど転生して日本を統一しないといけないらしい⁉︎」

 https://kakuyomu.jp/works/16816927862522506554


 日本の神話の時代が舞台の話です。

 バトルあり、涙あり、ラブコメあり、ハーレムなしの話になります。たぶん。


 こちらも読んでいただけると嬉しいです。

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